耳鳴実態調査票 (TSCHQ) を用いて慢性耳鳴患者200例の臨床像から検討した耳鳴診療の現状と課題

要旨: 当科耳鳴患者に対して施行した耳鳴実態調査票 (TSCHQ) の結果を用いて, 個々の治療群の患者背景を比較することで, 耳鳴診療の現状と課題について検討した。初回で治療終了となった群の臨床像は, 様々な背景が治療継続となった群と比べ軽症であり, 初回で治療終了となったのは概ね妥当であると評価することができた。その一方で, 精神的要因を有しながら介入されず初回で治療終了となった患者が含まれている可能性が示された。また, 補聴器による音響療法を施行した群と難聴がありながらも環境音による音響療法を施行した群では, THI改善率に有意差があったにもかかわらず, 患者背景として有意差があった項目...

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Published inAUDIOLOGY JAPAN Vol. 65; no. 1; pp. 51 - 59
Main Authors 今村, 香菜子, 南, 隆二, 大石, 直樹, 小澤, 宏之, 若林, 毅, 太田, 久裕, 中山, 梨絵, 山田, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本聴覚医学会 28.02.2022
日本聴覚医学会
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ISSN0303-8106
1883-7301
DOI10.4295/audiology.65.51

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Summary:要旨: 当科耳鳴患者に対して施行した耳鳴実態調査票 (TSCHQ) の結果を用いて, 個々の治療群の患者背景を比較することで, 耳鳴診療の現状と課題について検討した。初回で治療終了となった群の臨床像は, 様々な背景が治療継続となった群と比べ軽症であり, 初回で治療終了となったのは概ね妥当であると評価することができた。その一方で, 精神的要因を有しながら介入されず初回で治療終了となった患者が含まれている可能性が示された。また, 補聴器による音響療法を施行した群と難聴がありながらも環境音による音響療法を施行した群では, THI改善率に有意差があったにもかかわらず, 患者背景として有意差があった項目は耳鳴罹病期間のみであったことから, 耳鳴罹病期間は耳鳴の重症度に関与している可能性が考えられた。今後は TSCHQ のデータを集積し, サブグループに応じた耳鳴の臨床的特徴をより理解するための国内で統一されたデータベースの作成が望まれる。
ISSN:0303-8106
1883-7301
DOI:10.4295/audiology.65.51