左下咽頭梨状窩瘻からの感染による急性化膿性甲状腺炎の1女児例
急性化膿性甲状腺炎は, 主に幼児期, 学童期に見られる化膿菌によるまれな甲状腺の感染症である. 感染経路としては下咽頭梨状窩瘻からの細菌感染が多いとされている. 今回われわれは, 7歳女児に発症した左下咽頭梨状窩瘻からの感染による急性化膿性甲状腺炎の一女児例を経験したので, 本邦の小児報告例の文献的考察とともに報告する. 症例:7歳女児 主訴:発熱, 頚部腫脹 現病歴:11月29日から発熱, 11月30日より頚部腫脹も認めたので, 12月5日当科を受診した. 頚部リンパ節炎の疑いにて抗菌薬を投与されたが改善が認められないため12月8日外来受診, 入院となった. 入院時現症:甲状腺左葉部位に発赤...
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Published in | Journal of Nippon Medical School Vol. 69; no. 6; pp. 593 - 596 |
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Main Authors | , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本医科大学医学会
2002
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Online Access | Get full text |
ISSN | 1345-4676 1347-3409 |
DOI | 10.1272/jnms.69.593 |
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Summary: | 急性化膿性甲状腺炎は, 主に幼児期, 学童期に見られる化膿菌によるまれな甲状腺の感染症である. 感染経路としては下咽頭梨状窩瘻からの細菌感染が多いとされている. 今回われわれは, 7歳女児に発症した左下咽頭梨状窩瘻からの感染による急性化膿性甲状腺炎の一女児例を経験したので, 本邦の小児報告例の文献的考察とともに報告する. 症例:7歳女児 主訴:発熱, 頚部腫脹 現病歴:11月29日から発熱, 11月30日より頚部腫脹も認めたので, 12月5日当科を受診した. 頚部リンパ節炎の疑いにて抗菌薬を投与されたが改善が認められないため12月8日外来受診, 入院となった. 入院時現症:甲状腺左葉部位に発赤, 熱感, 疼痛を伴う腫脹(6×7cm)を認め, 圧痛も認めた. 患側頸部リンパ節は腫脹していたが, 腋窩リンパ節, 鼠径リンパ節の腫脹は認めなかった. 胸部, 腹部, 四肢の理学的所見には異常を認めなかった. 入院時検査所見:白血球9,800/μl(Nt85%, Lymph10%, Mono5%), 赤血球393万/μl, Hb11.0g/dl, Ht33.0%, 血小板46.9万/μl, CRP3.56mg/dl, 赤沈92mm/1時間, GOT26IU/liter, GPT13IU/liter, LDH306IU/liter, Amylase56IU/liter, BUN6.8mg/dl, Crnn0.43mg/dl, T-Bil0.4mg/dl, Na133mEq/liter, K3.8mEq/liter, C197mEq/liter, 抗マイクロゾーム抗体;陰性, 抗サイログロブリン抗体;陰性, TSH2.3mU/ml(正常5以下), FreeT3;2.10pg/ml(正常2.00~3.22), FreeT4:1.21ng/dl(正常0.83~1.64). |
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ISSN: | 1345-4676 1347-3409 |
DOI: | 10.1272/jnms.69.593 |