傍咽頭間隙に異所性グリア組織を認めた新生児の1例

症例は日齢0の男児で,在胎40週2日,2,730 gで吸引分娩にて出生した.左頸部に腫瘤が認められ,呼吸障害を伴っており徐々に増悪したため,日齢2に気管内挿管を施行した.CT,超音波検査にて多房性腫瘤が認められ,リンパ管腫と診断し硬化療法を施行したが,縮小傾向は認められなかった.MRIにて傍咽頭間隙を中心とした多房性腫瘤が認められ,囊胞の一部が上~中咽頭にも認められた.上~中咽頭腫瘤が呼吸障害の直接的な原因と考えられたため,日齢31に内視鏡下腫瘤摘出術を施行した.病理組織診断は異所性グリア組織であった.新生児における傍咽頭間隙の異所性グリア組織の報告例は世界的にも20例未満であり,本邦報告例は...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 53; no. 5; pp. 1059 - 1063
Main Authors 齋藤, 傑, 木村, 俊郎, 鍵谷, 卓司, 佐藤, 健太郎, 袴田, 健一, 石戸, 圭之輔, 小林, 完, 須貝, 道博, 吉田, 達哉
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2017
日本小児外科学会
Subjects
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.53.5_1059

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Summary:症例は日齢0の男児で,在胎40週2日,2,730 gで吸引分娩にて出生した.左頸部に腫瘤が認められ,呼吸障害を伴っており徐々に増悪したため,日齢2に気管内挿管を施行した.CT,超音波検査にて多房性腫瘤が認められ,リンパ管腫と診断し硬化療法を施行したが,縮小傾向は認められなかった.MRIにて傍咽頭間隙を中心とした多房性腫瘤が認められ,囊胞の一部が上~中咽頭にも認められた.上~中咽頭腫瘤が呼吸障害の直接的な原因と考えられたため,日齢31に内視鏡下腫瘤摘出術を施行した.病理組織診断は異所性グリア組織であった.新生児における傍咽頭間隙の異所性グリア組織の報告例は世界的にも20例未満であり,本邦報告例は1例のみである.画像上,リンパ管腫,奇形腫との鑑別が困難となるが,下顎骨変形を伴うことが特徴とされている.新生児における頸部腫瘤症例では本疾患を念頭に鑑別することが重要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.53.5_1059