びまん性多発肝転移を有する非機能性高分化型膵内分泌癌に対して脾合併膵体尾部切除同時生体肝移植を行った1例

症例は23歳,女性.膵体部に径40mmの造影効果のある腫瘍とびまん性に多発肝腫瘍を認め,肝腫瘍生検で非機能性高分化型膵内分泌癌と診断した.全身化学療法施行するも奏効が得られなかったため,当院移植外科にてインフォームドコンセントの上,脾合併膵体尾部切除同時生体肝移植を行った.約半年後腹部リンパ節再発に伴う再手術後,組織標本によるSSTR2免疫染色が陽性であったため酢酸オクトレオチドを開始した.手術後,一旦症状は軽減し通院加療を継続していた.その後腹部リンパ節・骨・肺転移が徐々に増大し,S-1も追加投与していたが,当院加療開始より約4年4ヶ月目に永眠された.若年発症の膵内分泌癌で切除不能多発肝転移...

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Published in膵臓 Vol. 27; no. 1; pp. 69 - 79
Main Authors 田村, 文雄, 直江, 秀昭, 佐々木, 裕, 永濱, 裕康, 田中, 基彦, 尾上, 公浩, 岡島, 英明, 猪股, 裕紀洋, 田中, 秀紀, 横峰, 和典, 猪山, 賢一, 桜井, 宏一
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2012
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.27.69

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Summary:症例は23歳,女性.膵体部に径40mmの造影効果のある腫瘍とびまん性に多発肝腫瘍を認め,肝腫瘍生検で非機能性高分化型膵内分泌癌と診断した.全身化学療法施行するも奏効が得られなかったため,当院移植外科にてインフォームドコンセントの上,脾合併膵体尾部切除同時生体肝移植を行った.約半年後腹部リンパ節再発に伴う再手術後,組織標本によるSSTR2免疫染色が陽性であったため酢酸オクトレオチドを開始した.手術後,一旦症状は軽減し通院加療を継続していた.その後腹部リンパ節・骨・肺転移が徐々に増大し,S-1も追加投与していたが,当院加療開始より約4年4ヶ月目に永眠された.若年発症の膵内分泌癌で切除不能多発肝転移に対して,肝移植は治療の選択肢となり得ることが示唆された.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.27.69