多脾症候群に合併した胃軸捻転症に対して,腹腔鏡下胃固定術および脾臓摘出術を施行した1例

症例は13歳女児.先天性心疾患および多脾症候群のため,小児科で加療されていた.12歳時,検査入院中に,血性嘔吐が出現し当科を受診した.胃軸捻転症および遊走脾と診断した.経鼻胃管による減圧で症状が消失し経過観察としたが,その後短期間で複数回の捻転が生じたため,腹腔鏡下胃固定術および脾臓摘出術を行った.術中観察では逆位の胃および複数の脾臓を認めた.後腹膜に固定された一部の脾臓を温存し,残る遊走脾を切除後,胃と腹壁を固定した.また,無回転型腸回転異常症を認めたため,予防的虫垂切除を行った.術後経過は良好で症状再発なく3年が経過している.多脾症候群には多様な心血管奇形や腹腔内臓器奇形を合併することが多...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 6; pp. 1076 - 1080
Main Authors 谷本, 光隆, 野田, 卓男, 谷, 守通, 尾山, 貴徳, 納所, 洋, 宮田, 将徳
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2019
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.55.6_1076

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Summary:症例は13歳女児.先天性心疾患および多脾症候群のため,小児科で加療されていた.12歳時,検査入院中に,血性嘔吐が出現し当科を受診した.胃軸捻転症および遊走脾と診断した.経鼻胃管による減圧で症状が消失し経過観察としたが,その後短期間で複数回の捻転が生じたため,腹腔鏡下胃固定術および脾臓摘出術を行った.術中観察では逆位の胃および複数の脾臓を認めた.後腹膜に固定された一部の脾臓を温存し,残る遊走脾を切除後,胃と腹壁を固定した.また,無回転型腸回転異常症を認めたため,予防的虫垂切除を行った.術後経過は良好で症状再発なく3年が経過している.多脾症候群には多様な心血管奇形や腹腔内臓器奇形を合併することが多い.胆道閉鎖症や腸回転異常症の合併が報告されているが,胃軸捻転症は極めて稀である.個々の症例において臨床像が異なるため,治療方針については十分な検討を要する.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.55.6_1076