薬剤師の介入によるソラフェニブの手足皮膚反応のリスクと服薬アドヒアランスの改善度の評価

『緒言』 マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブは, 主に血管新生抑制作用により効果を有する分子標的薬である1,2). ソラフェニブには皮膚に対する特有の副作用があり, その中でも手足皮膚反応は, 特に注意を要する副作用である3). 手足皮膚反応は, 直接生命を脅かすものではないが, その痛みや皮膚の発赤, 潰瘍によりものを握ることや歩くことができなくなる有害事象であり, 患者の生活の質を悪化させ, ソラフェニブの休薬, 減量の第一の原因に挙げられている. 2010年9月13日における特定使用成績調査中間報告書(切除不能な肝細胞がん)においては, 安全性解析対象者647例のうち6カ月目時点まで...

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Published in医療薬学 Vol. 37; no. 5; pp. 317 - 321
Main Authors 光永, 修一, 仲地, 耕平, 池田, 公史, 遠藤, 一司, 清水, 怜, 村永, 愛, 戸田, 繭子, 鈴木, 真也, 船崎, 秀樹, 西村, 美子, 和泉, 啓司郎, 小田中, みのり
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 2011
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.37.317

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Summary:『緒言』 マルチキナーゼ阻害薬であるソラフェニブは, 主に血管新生抑制作用により効果を有する分子標的薬である1,2). ソラフェニブには皮膚に対する特有の副作用があり, その中でも手足皮膚反応は, 特に注意を要する副作用である3). 手足皮膚反応は, 直接生命を脅かすものではないが, その痛みや皮膚の発赤, 潰瘍によりものを握ることや歩くことができなくなる有害事象であり, 患者の生活の質を悪化させ, ソラフェニブの休薬, 減量の第一の原因に挙げられている. 2010年9月13日における特定使用成績調査中間報告書(切除不能な肝細胞がん)においては, 安全性解析対象者647例のうち6カ月目時点までに有害事象により投与中止された例は257例(40%)であり, そのうち38例(15%)が手足皮膚反応によるものであった. 手足皮膚反応による治療の永続的な中止は肝機能障害の36例よりも多く, 最も高頻度なものとして挙げられている. このことからソラフェニブの服薬アドヒアランスを高め, 治療をできるだけ長く継続していくためには, 手足皮膚反応の管理や対処方法を熟知しておくことが必要である.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.37.317