新生児肛門部脂肪腫の1例

会陰部脂肪腫はまれな疾患である.今回,われわれは生直後に有茎性腫瘤として発見された肛門部の脂肪腫を経験したので報告する.症例は生後21 日の男児.生下時より肛門部に腫瘤を認めていたが.生後20 日に暗赤色に変化し出血が危惧され紹介となった.腫瘤は有茎性ポリープ様で皮膚より隆起しており,頭部は暗赤色を呈していた.超音波検査で内部は脂肪成分であった.直腸,仙骨との交通や直腸肛門奇形を認めないことを確認し,日齢25 に摘出術を行った.病理学検査の結果は脂肪腫であった.術後6 か月を経過して再発などはない.会陰部腫瘤の鑑別診断として,human tail,仙尾部奇形腫,血管腫,脂肪芽腫などが挙げられる...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 5; pp. 1056 - 1060
Main Authors 藤井, 俊輔, 千葉, 史子, 佐々木, 理人, 高安, 肇, 田中, 秀明, 五藤, 周, 相吉, 翼, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.5_1056

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Summary:会陰部脂肪腫はまれな疾患である.今回,われわれは生直後に有茎性腫瘤として発見された肛門部の脂肪腫を経験したので報告する.症例は生後21 日の男児.生下時より肛門部に腫瘤を認めていたが.生後20 日に暗赤色に変化し出血が危惧され紹介となった.腫瘤は有茎性ポリープ様で皮膚より隆起しており,頭部は暗赤色を呈していた.超音波検査で内部は脂肪成分であった.直腸,仙骨との交通や直腸肛門奇形を認めないことを確認し,日齢25 に摘出術を行った.病理学検査の結果は脂肪腫であった.術後6 か月を経過して再発などはない.会陰部腫瘤の鑑別診断として,human tail,仙尾部奇形腫,血管腫,脂肪芽腫などが挙げられるが,診断には組織学的診断を要する.いずれも手術に際しては,直腸,肛門括約筋,脊髄との位置関係が問題となるが,本症例では術前評価により関連は否定され,早期に安全に手術を行うことができた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.5_1056