クリッピングのために前床突起の削除を行った真の後交通動脈瘤の手術

内頸動脈から分岐後の後交通動脈自体から発生する動脈瘤は真の後交通動脈瘤(true posterior communicating artery aneurysm, 以下true PcomA)と呼ばれ, 現在に至るまで20例近くの報告がなされている1)3-l0)12). この動脈瘤の発生部位である後交通動脈は原則として穿通枝以外の主要な血管を分枝しないため8), 発生部位のみならず発生因子に関しても興味深い動脈瘤である. われわれは大動脈炎症候群の患者に生じたtrue PcomAの1例を経験し, clippingに際して前床突起の削除が有効であったので, 手術法と発生機序に関して考察を加え報告す...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 28; no. 2; pp. 142 - 146
Main Authors 籠島, 忠, 西岡, 利和, 藤岡, 政行, 西村, 文彦, 永田, 清, 奥地, 一夫
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2000
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.28.2_142

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Summary:内頸動脈から分岐後の後交通動脈自体から発生する動脈瘤は真の後交通動脈瘤(true posterior communicating artery aneurysm, 以下true PcomA)と呼ばれ, 現在に至るまで20例近くの報告がなされている1)3-l0)12). この動脈瘤の発生部位である後交通動脈は原則として穿通枝以外の主要な血管を分枝しないため8), 発生部位のみならず発生因子に関しても興味深い動脈瘤である. われわれは大動脈炎症候群の患者に生じたtrue PcomAの1例を経験し, clippingに際して前床突起の削除が有効であったので, 手術法と発生機序に関して考察を加え報告する. 症例 患者:66歳, 男性. 既往歴:33年前に意識消失発作が頻回に生じ, 血管撮影にて左鎖骨下動脈の閉塞がみられたため大動脈炎症候群(高安病)に伴うsubclavian steal syndromeの診断のもと某大学病院胸部外科にて人工血管置換術をうけた. 家人によれば術後重篤な状態が続いたが, 徐々に回復したとのことであった. 現病歴:平成9年5月14日告別式に出席中に急に意識が低下し, 近医に緊急入院した. 翌日のCTにてくも膜下出血(SAH)が発見されたため当センターに転院した.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.28.2_142