IPMCを併存した退形成性膵管癌の1例

退形成性膵管癌は浸潤性膵管癌の中でもまれな組織型であり,発見時には巨大なことが多く,急速に増大し,予後不良とされる.一方,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は通常型膵管癌を合併することが少なくないことも知られている.今回我々は,退形成性膵管癌と膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)が合併した1例を経験したので報告する.症例は78歳の女性.大動脈弁狭窄症による急性心不全で当院へ入院し,CT検査にて膵頭部に腫瘤を認めた.大動脈弁狭窄症に対する手術を先行し,2ヵ月後にCT検査を施行したところ,腫瘤の急速な増大を認めたため膵癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的に退形成性膵管癌と診断し,...

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Published in膵臓 Vol. 25; no. 4; pp. 521 - 528
Main Authors 堀見, 忠司, 寺石, 文則, 上月, 章史, 志摩, 泰生, 岩田, 純
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2010
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.25.521

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Summary:退形成性膵管癌は浸潤性膵管癌の中でもまれな組織型であり,発見時には巨大なことが多く,急速に増大し,予後不良とされる.一方,膵管内乳頭粘液性腫瘍(IPMN)は通常型膵管癌を合併することが少なくないことも知られている.今回我々は,退形成性膵管癌と膵管内乳頭粘液性腺癌(IPMC)が合併した1例を経験したので報告する.症例は78歳の女性.大動脈弁狭窄症による急性心不全で当院へ入院し,CT検査にて膵頭部に腫瘤を認めた.大動脈弁狭窄症に対する手術を先行し,2ヵ月後にCT検査を施行したところ,腫瘤の急速な増大を認めたため膵癌の診断で亜全胃温存膵頭十二指腸切除を施行した.病理組織学的に退形成性膵管癌と診断し,IPMCの併存も認めた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.25.521