LAMP法により早期に検出した,急性腎不全を合併したYersinia pseudotuberculosis感染症の1例

Yersinia pseudotuberculosis (Y. pstb) 感染症は,従来より確定診断が困難とされてきた。今回われわれは,LAMP法 (Loop-Mediated Isothermal Amplification) を用いて便よりY. pstbを検出し,後の血清抗体価と合わせて診断に至った症例を経験した。  症例は10歳女児,発熱・腹痛を主訴に5病日に入院した。細菌性腸炎,腎前性腎不全があり,輸液・抗生剤による治療で改善した。16病日より川崎病様症状を呈したため,入院時の便検体で培養は陰性であったが,LAMP法を施行しY. pstb陽性を確認した。ペア血清でY. pstb 2a...

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Published in日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 23; no. 2; pp. 102 - 106
Main Authors 田代, 克弥, 酒井, 菜那, 岡, 政史, 中嶋, 洋, 市丸, 智浩, 佐藤, 忠司, 濱崎, 雄平, 大塚, 泰史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本小児腎臓病学会 2010
日本小児腎臓病学会
Subjects
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ISSN0915-2245
1881-3933
DOI10.3165/jjpn.23.102

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Summary:Yersinia pseudotuberculosis (Y. pstb) 感染症は,従来より確定診断が困難とされてきた。今回われわれは,LAMP法 (Loop-Mediated Isothermal Amplification) を用いて便よりY. pstbを検出し,後の血清抗体価と合わせて診断に至った症例を経験した。  症例は10歳女児,発熱・腹痛を主訴に5病日に入院した。細菌性腸炎,腎前性腎不全があり,輸液・抗生剤による治療で改善した。16病日より川崎病様症状を呈したため,入院時の便検体で培養は陰性であったが,LAMP法を施行しY. pstb陽性を確認した。ペア血清でY. pstb 2a型が陽性で確定診断とした。Y. pstb感染症の診断は,便の低温培養や研究施設での抗体価測定など煩雑な側面があり,診断に至らない症例も多い。便検体によるLAMP法はY. pstb感染症の早期診断の有用な補助検査と考えられた。
ISSN:0915-2245
1881-3933
DOI:10.3165/jjpn.23.102