皮膚転移と筋転移を伴った膵癌の一例

膵癌診断時に皮膚転移を認め,その後筋転移を来たした稀な一例を経験した.症例は74歳,男性.早期大腸癌にてEMR施行され,2年後の定期受診で,膵尾部腫瘍を指摘され,精査となった.腹部造影CTにて膵尾部に約5cm大の造影効果の乏しい腫瘍を認め,肝に多発する小さな低吸収結節影を認めた.EUS下針生検にて膵管癌と診断した.入院時,左腋窩に圧痛を伴う皮下腫瘤があり,切除生検にて膵癌皮膚転移と診断した.膵癌T4N1M1 Stage IVに対し,gemcitabineとS-1による化学療法を開始した.治療初期より左大腿外側の痛みがあり,画像検査にて膵癌筋転移が強く示唆された.化学療法への反応は悪く,腫瘍は進...

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Published in膵臓 Vol. 27; no. 1; pp. 54 - 61
Main Authors 石川, 典由, 百留, 亮治, 西, 健, 矢野, 誠司, 川畑, 康成, 今岡, 大, 田中, 恒夫, 門馬, 浩行
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2012
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.27.54

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Summary:膵癌診断時に皮膚転移を認め,その後筋転移を来たした稀な一例を経験した.症例は74歳,男性.早期大腸癌にてEMR施行され,2年後の定期受診で,膵尾部腫瘍を指摘され,精査となった.腹部造影CTにて膵尾部に約5cm大の造影効果の乏しい腫瘍を認め,肝に多発する小さな低吸収結節影を認めた.EUS下針生検にて膵管癌と診断した.入院時,左腋窩に圧痛を伴う皮下腫瘤があり,切除生検にて膵癌皮膚転移と診断した.膵癌T4N1M1 Stage IVに対し,gemcitabineとS-1による化学療法を開始した.治療初期より左大腿外側の痛みがあり,画像検査にて膵癌筋転移が強く示唆された.化学療法への反応は悪く,腫瘍は進行し,治療開始200日後に永眠された.皮膚転移・筋転移が膵癌の発見契機となることもあり,皮下腫瘤や持続する原因不明の筋肉痛などは注意すべき所見と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.27.54