回腸捻転を伴う続発性双極性大網捻転の1例

腹痛を契機に診断された回腸捻転を伴う続発性大網捻転を経験したので術前画像と発症機序について文献的考察を加え報告する.症例は11歳女児.1年前から腹痛嘔吐を繰り返していた.当日朝からの激しい右下腹部痛で救急受診.腹部造影CTで回腸末端の捻転像を認め原発性回腸捻転の術前診断で緊急手術を計画した.手術開始時には回腸捻転は自然に解除されていたが,捻転した大網が回腸壁に広範囲に癒着しており切離した.回腸に器質的病変は認めなかった.CTを後方視的に検討するとらせん状の大網血管を指摘でき,大網捻転の所見であった.癒着した大網によって牽引された回腸が捻転と自然解除を繰り返し慢性的な腹痛の原因になったと考えられ...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 53; no. 7; pp. 1324 - 1327
Main Authors 田尻, 達郎, 古川, 泰三, 谷口, 彰宏, 東, 真弓, 青井, 重善, 坂井, 宏平, 文野, 誠久, 井上, 真帆
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.12.2017
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.53.7_1324

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Summary:腹痛を契機に診断された回腸捻転を伴う続発性大網捻転を経験したので術前画像と発症機序について文献的考察を加え報告する.症例は11歳女児.1年前から腹痛嘔吐を繰り返していた.当日朝からの激しい右下腹部痛で救急受診.腹部造影CTで回腸末端の捻転像を認め原発性回腸捻転の術前診断で緊急手術を計画した.手術開始時には回腸捻転は自然に解除されていたが,捻転した大網が回腸壁に広範囲に癒着しており切離した.回腸に器質的病変は認めなかった.CTを後方視的に検討するとらせん状の大網血管を指摘でき,大網捻転の所見であった.癒着した大網によって牽引された回腸が捻転と自然解除を繰り返し慢性的な腹痛の原因になったと考えられた.本症例では大網が回腸壁に強固に癒着していたが大網や小腸自体に癒着の原因となる病変は認めず,解剖学的異常や肥満などの素因,手術歴,外傷などの誘因もないことから続発性双極性大網捻転と診断した.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.53.7_1324