非ステロイド性抗炎症薬の抗血小板作用に関するPK/PD解析

「緒言」アスピリンは低用量で用いると血小板凝集抑制作用により血栓・塞栓性疾患の予防効果を示すことから, 主に心筋梗塞や脳梗塞などの二次予防を目的として汎用されている. しかし, 低用量アスピリンは優れた有効性を示す一方で, 消化管出血などの副作用を引き起こす可能性が知られており, リスクとベネフィットを十分に考慮したうえで投与する必要がある. 低用量アスピリンの抗血小板作用は, 血小板のシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-1を阻害することによって発現するが, アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drug...

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Published in医療薬学 Vol. 41; no. 6; pp. 404 - 414
Main Authors 赤木, 祐貴, 下村, 斉, 青山, 隆夫, 荒井, 碧, 山本, 康次郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.06.2015
日本医療薬学会
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.41.404

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Summary:「緒言」アスピリンは低用量で用いると血小板凝集抑制作用により血栓・塞栓性疾患の予防効果を示すことから, 主に心筋梗塞や脳梗塞などの二次予防を目的として汎用されている. しかし, 低用量アスピリンは優れた有効性を示す一方で, 消化管出血などの副作用を引き起こす可能性が知られており, リスクとベネフィットを十分に考慮したうえで投与する必要がある. 低用量アスピリンの抗血小板作用は, 血小板のシクロオキシゲナーゼ(cyclooxygenase:COX)-1を阻害することによって発現するが, アスピリン以外の非ステロイド性抗炎症薬(nonsteroidal anti-inflammatory drugs:NSAIDs)もCOX-1を阻害することから, 低用量アスピリンと同様に抗血小板作用があると考えられる. ただし, アスピリンは血小板のCOX-1の内部にある530位のセリン残基をアセチル化して不可逆的な作用を示すのに対し, アスピリン以外のNSAIDsは主にCOX-1の120位のアルギニン残基と塩橋を形成することによって可逆的な作用を示すという違いがあるため, 低用量アスピリンとは異なり, NSAIDsの抗血小板作用は一過性のものとなると予想される.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.41.404