術後鎮痛におけるこれからの選択 —末梢神経ブロックを活用した術後鎮痛

近年, フォンダパリヌクスやエノキサパリンといった周術期肺血栓塞栓症予防のための抗凝固薬が承認され, 硬膜外麻酔による出血性合併症のリスクが改めて注目されている. これからの術後鎮痛は, 硬膜外麻酔だけでなくさまざまな鎮痛法が必要となる. 手術部位が片側の四肢手術や胸部外科手術の場合, 末梢神経ブロックは非手術側の神経遮断を生じさせず, 脊髄レベルにおける神経障害リスクを回避できる. 過去の報告でも, 下肢手術や呼吸器外科手術において, 末梢神経ブロックは硬膜外麻酔と鎮痛効果に差がないことが明らかになっている. 一方, 開腹手術における末梢神経ブロックの報告もあるが, 硬膜外麻酔と比較するだけ...

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Bibliographic Details
Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 29; no. 5; pp. 620 - 626
Main Authors 瀬尾, 憲正, 堀田, 訓久
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2009
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.29.620

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Summary:近年, フォンダパリヌクスやエノキサパリンといった周術期肺血栓塞栓症予防のための抗凝固薬が承認され, 硬膜外麻酔による出血性合併症のリスクが改めて注目されている. これからの術後鎮痛は, 硬膜外麻酔だけでなくさまざまな鎮痛法が必要となる. 手術部位が片側の四肢手術や胸部外科手術の場合, 末梢神経ブロックは非手術側の神経遮断を生じさせず, 脊髄レベルにおける神経障害リスクを回避できる. 過去の報告でも, 下肢手術や呼吸器外科手術において, 末梢神経ブロックは硬膜外麻酔と鎮痛効果に差がないことが明らかになっている. 一方, 開腹手術における末梢神経ブロックの報告もあるが, 硬膜外麻酔と比較するだけのデータがないのが現状である.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.29.620