CT解析による本邦成人仙腸関節の形態

仙腸関節は体幹からの荷重を下肢に伝達する滑膜関節で, 骨盤環の要をなし, 起立位で生活する人類にとって重要な機能を有している. その生体力学的構造上の不合理を補うために周囲の強固な靱帯結合によって支持されているが, 仙腸関節への負荷ないし異常が腰仙部に強い機械的ストレス刺激となり, 臨床上広義の腰痛発生の一因をなすと考えられている. しかし, 仙腸関節に関する研究はこれまで系統解剖学, 組織病理学, 生体力学的な研究が多く1-5, その臨床形態学に関する知見は極めて少ない. 我々は仙腸関節の形態解明を目的として, Computed tomography(CT)を用いて本邦成人仙腸関節面の角度を...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 5; pp. 416 - 421
Main Authors 伊藤, 博元, 潘, 宣超, 高山, 景範, 柴田, 靖章
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2003
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.70.416

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Summary:仙腸関節は体幹からの荷重を下肢に伝達する滑膜関節で, 骨盤環の要をなし, 起立位で生活する人類にとって重要な機能を有している. その生体力学的構造上の不合理を補うために周囲の強固な靱帯結合によって支持されているが, 仙腸関節への負荷ないし異常が腰仙部に強い機械的ストレス刺激となり, 臨床上広義の腰痛発生の一因をなすと考えられている. しかし, 仙腸関節に関する研究はこれまで系統解剖学, 組織病理学, 生体力学的な研究が多く1-5, その臨床形態学に関する知見は極めて少ない. 我々は仙腸関節の形態解明を目的として, Computed tomography(CT)を用いて本邦成人仙腸関節面の角度を計測した. また, その計測値に影響を与えると思われる因子について統計学的検討を行った. <研究対象及び方法>1. 対象 対象は感染, 外傷, rheumatoid arthritis(RA)などの基礎疾患がなく, 腰仙部に愁訴のない本邦成人ボランティア92例184関節である. 性別は男性46例, 女性46例で, 年齢は21~86歳(平均51. 0歳)である. 対象の内訳は20代13人, 30代14人, 40代14人, 50代18人, 60代18人, 70歳以上15人で, 選定には年齢, 性別が均等になるように配慮した(Table 1).
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.70.416