胎児期より指摘されていた腹腔内停留精巣奇形腫の1 例

停留精巣に発生する腫瘍は幼小児期には稀で,胎児期の報告例は非常に少ない.われわれは,胎児超音波検査で指摘された腹部腫瘤を契機に診断された腹腔内停留精巣発生の奇形腫を経験したので,文献考察を含めて報告する.症例は日齢6 男児で,在胎8 か月時の超音波検査で腹部腫瘤を指摘された.出生後のMRI 検査では,左側腹部に36 mm 大の囊胞性病変を認め,内部に一部脂肪成分を含む充実部分があり,奇形腫を疑った.また左陰囊内に精巣を触知せず,左停留精巣と診断した.腹腔内停留精巣に発生した奇形腫と考えて生後2 か月時に手術を行った.腫瘍を含めた左高位除睾術を施行し,術後病理検査では骨,脂肪,毛髪などが混在した...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 50; no. 6; pp. 1053 - 1056
Main Authors 内田, 雄一郎, 佐野, 薫, 嶋田, 圭太
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2014
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.50.6_1053

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Summary:停留精巣に発生する腫瘍は幼小児期には稀で,胎児期の報告例は非常に少ない.われわれは,胎児超音波検査で指摘された腹部腫瘤を契機に診断された腹腔内停留精巣発生の奇形腫を経験したので,文献考察を含めて報告する.症例は日齢6 男児で,在胎8 か月時の超音波検査で腹部腫瘤を指摘された.出生後のMRI 検査では,左側腹部に36 mm 大の囊胞性病変を認め,内部に一部脂肪成分を含む充実部分があり,奇形腫を疑った.また左陰囊内に精巣を触知せず,左停留精巣と診断した.腹腔内停留精巣に発生した奇形腫と考えて生後2 か月時に手術を行った.腫瘍を含めた左高位除睾術を施行し,術後病理検査では骨,脂肪,毛髪などが混在した成熟奇形腫の組織像を認め,腫瘍の辺縁には精巣網,精巣上体の構造も認めることから,腹腔内停留精巣に発生した成熟奇形腫と診断した.術後再発徴候認めず,現在外来で経過観察中である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.50.6_1053