IPEX症候群と腎疾患
IPEX症候群は,FOXP3遺伝子の変異が制御性T細胞の機能異常を引き起こすまれな自己免疫異常症である。また,IPEX症候群患者は無治療で経過すると2歳までに感染や栄養障害から死亡する予後不良な疾患である。しかし,特異的な治療法がなく,免疫抑制剤の併用療法が行われてきたが根治療法とはならない。造血幹細胞移植が,近年,根治術として報告され良好な成績を挙げている。腎合併症は膜性腎症や尿細管間質性腎炎,微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) を呈した症例などが報告されている。MCNSを呈した症例はIPEX症候群の病因である制御性T細胞機能異常の関与が考えられた。本稿ではIPEX症候群およびその腎症...
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Published in | 日本小児腎臓病学会雑誌 Vol. 22; no. 2; pp. 131 - 135 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
一般社団法人 日本小児腎臓病学会
2009
日本小児腎臓病学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0915-2245 1881-3933 |
DOI | 10.3165/jjpn.22.131 |
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Summary: | IPEX症候群は,FOXP3遺伝子の変異が制御性T細胞の機能異常を引き起こすまれな自己免疫異常症である。また,IPEX症候群患者は無治療で経過すると2歳までに感染や栄養障害から死亡する予後不良な疾患である。しかし,特異的な治療法がなく,免疫抑制剤の併用療法が行われてきたが根治療法とはならない。造血幹細胞移植が,近年,根治術として報告され良好な成績を挙げている。腎合併症は膜性腎症や尿細管間質性腎炎,微小変化型ネフローゼ症候群 (MCNS) を呈した症例などが報告されている。MCNSを呈した症例はIPEX症候群の病因である制御性T細胞機能異常の関与が考えられた。本稿ではIPEX症候群およびその腎症状,さらにはその発症原因である制御性T細胞異常と腎炎の関連性に関して述べる。 |
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ISSN: | 0915-2245 1881-3933 |
DOI: | 10.3165/jjpn.22.131 |