胎児胸腔―羊水腔シャントカテーテルの胸壁内遺残と縦隔癒着に対し胸腔鏡補助下摘出術を要した1例

症例は在胎33週出生の男児.在胎31週に胎児胸水を指摘され当院に母体紹介となった.胎児胸水穿刺吸引後も再貯留したため,胸腔―羊水腔シャント術(thoraco-amniotic shunting:TAS)を施行したが,ダブルバスケットカテーテル1本が胸腔内脱落した.バスケットの一端が胸壁内に埋没していることが出生後に判明し,日齢26に摘出術を施行した.胸壁内のバスケットの剥離・牽引のみでは抜去できず,胸腔鏡下に縦隔胸膜へ強固に癒着した他端のバスケットを剥離することで抜去できた.TASの合併症の一つにカテーテルの胸腔内遺残がある.その一端が胸壁内に埋没したカテーテルは胸壁の剥離操作のみで摘出できる...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 6; pp. 1016 - 1020
Main Authors 河北, 一誠, 八木, 勇磨, 藤井, 俊輔, 臼井, 秀仁, 篠原, 彰太, 北河, 徳彦, 都築, 行広, 新開, 真人, 望月, 響子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2020
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.56.6_1016

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Summary:症例は在胎33週出生の男児.在胎31週に胎児胸水を指摘され当院に母体紹介となった.胎児胸水穿刺吸引後も再貯留したため,胸腔―羊水腔シャント術(thoraco-amniotic shunting:TAS)を施行したが,ダブルバスケットカテーテル1本が胸腔内脱落した.バスケットの一端が胸壁内に埋没していることが出生後に判明し,日齢26に摘出術を施行した.胸壁内のバスケットの剥離・牽引のみでは抜去できず,胸腔鏡下に縦隔胸膜へ強固に癒着した他端のバスケットを剥離することで抜去できた.TASの合併症の一つにカテーテルの胸腔内遺残がある.その一端が胸壁内に埋没したカテーテルは胸壁の剥離操作のみで摘出できると期待されるが,本例のように困難な場合がありうる.胸腔側バスケットを観察しながら安全を確認し抜去するために,胸腔鏡を準備しておくことは有用である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.6_1016