経過中に陰影の縮小を認め同時多発癌と考えられた細気管支肺胞上皮癌の1例

肺野結節影の鑑別診断はなかなか一筋縄ではいかず, 画像所見と臨床症状からの診断には大きな限界があるといわざるを言えない. そして, 臨床の場で最も重要となるのは良悪性の鑑別であり, 種々の検査を行っても判断のつかない症例では, 注意深い経過観察が重要となる. その際, 一般的には経時的観察で結節の大きさが不変もしくは縮小する症例では悪性腫瘍は否定的であると判断されている. しかし, 肺癌のみならず胸部疾患には典型的な画像や経過を示さない例も多く, 経過観察する際も十分な注意が必要である. 最近我々の施設において, 示唆に富む画像と経過を示した細気管支肺胞上皮癌の症例を経験したので報告する. 症...

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Published inJournal of Nippon Medical School Vol. 70; no. 2; pp. 186 - 190
Main Authors 佐藤, 雅史, 吉川, 真由美
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 2003
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ISSN1345-4676
1347-3409
DOI10.1272/jnms.70.186

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Summary:肺野結節影の鑑別診断はなかなか一筋縄ではいかず, 画像所見と臨床症状からの診断には大きな限界があるといわざるを言えない. そして, 臨床の場で最も重要となるのは良悪性の鑑別であり, 種々の検査を行っても判断のつかない症例では, 注意深い経過観察が重要となる. その際, 一般的には経時的観察で結節の大きさが不変もしくは縮小する症例では悪性腫瘍は否定的であると判断されている. しかし, 肺癌のみならず胸部疾患には典型的な画像や経過を示さない例も多く, 経過観察する際も十分な注意が必要である. 最近我々の施設において, 示唆に富む画像と経過を示した細気管支肺胞上皮癌の症例を経験したので報告する. 症例:63歳女性 主訴:なし 既往歴, 家族歴:特記すべきことなし. 喫煙歴:なし 現病歴:生来健康で自覚症状なく経過していたが, 平成7年5月24日に住民検診を受け, 胸部X線写真にて異常陰影を認めたため同年6月12日に当科紹介受診となる. 受診時自覚症状および理学的異常所見なく, 血液生化学検査ではTC 246mg/dl, TG 218mg/dlと高脂血症を認めるのみであり, 検査された腫瘍マーカーはすべて陰性であった.
ISSN:1345-4676
1347-3409
DOI:10.1272/jnms.70.186