回盲部リンパ濾胞性ポリポーシスによって腸重積症を繰り返した幼児の1 例

症例は4 歳9 か月,男児.生後10 か月から計11 回目の腸重積を発症し非観血的に整復した.整復後の超音波検査では回腸末端に多数の隆起性病変が疑われ,下部消化管内視鏡検査では同部に多発結節状腫瘤を認めた.病理検査からリンパ濾胞性ポリポーシス(本症)と診断し本症が繰り返す腸重積症の原因と判断した.ステロイド治療を施行し内視鏡にて効果判定を行ったところ,ポリポーシスの消退は認めなかった.本邦では本症による腸重積症が19 例報告されていた.平均発症年齢は4 歳と高く,重積回数は平均2.8 回であり,非観血的整復率は平均26.3%と低かった.小児腸重積症の原因精査において超音波検査は有用であり,治療...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 52; no. 6; pp. 1208 - 1213
Main Authors 大野, 耕一, 堀池, 正樹
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.10.2016
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.52.6_1208

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Summary:症例は4 歳9 か月,男児.生後10 か月から計11 回目の腸重積を発症し非観血的に整復した.整復後の超音波検査では回腸末端に多数の隆起性病変が疑われ,下部消化管内視鏡検査では同部に多発結節状腫瘤を認めた.病理検査からリンパ濾胞性ポリポーシス(本症)と診断し本症が繰り返す腸重積症の原因と判断した.ステロイド治療を施行し内視鏡にて効果判定を行ったところ,ポリポーシスの消退は認めなかった.本邦では本症による腸重積症が19 例報告されていた.平均発症年齢は4 歳と高く,重積回数は平均2.8 回であり,非観血的整復率は平均26.3%と低かった.小児腸重積症の原因精査において超音波検査は有用であり,治療効果判定も可能である.本症に対してステロイドの有効性が報告されているが自験例では効果はみられなかった.ステロイド治療に関しては症例を重ねてさらなる検討が必要である.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.52.6_1208