頬部皮下腫瘤として触知された上顎洞血瘤腫の1例

22歳男性。右頬部皮下腫瘤を主訴に当科を受診した。造影CT検査にて右上顎洞を主座とする直径約60 mmの不均一な造影増強効果のある充実性腫瘤を認め,圧排性に発育することによる周囲の骨欠損を認めた。血瘤腫が最も疑われ,手術前日,放射線科にて右顎動脈より塞栓術施行後,耳鼻咽喉科にて全身麻酔下内視鏡下に腫瘍摘出術が施行された。病理組織学的検査においても血瘤腫の所見と一致した。摘出術から1年3か月が経過した後も再発は認めず,副鼻腔全体の含気は良好で骨の連続性も回復していた。 血瘤腫は主に鼻副鼻腔に生じる易出血性良性腫瘤の総称と定義される。臨床症状として鼻出血,鼻閉,鼻汁が多いことから,耳鼻咽喉科医にと...

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Published in聖マリアンナ医科大学雑誌 Vol. 48; no. 3; pp. 123 - 128
Main Authors 相原, 正記, 成木, 佐瑛子, 梶川, 明義, 斎藤, 善光, 関, 征央, 宮本, 康裕, 西本, 寛志, 髙田, 女里
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 学校法人 聖マリアンナ医科大学医学会 2020
聖マリアンナ医科大学医学会
Subjects
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ISSN0387-2289
2189-0285
DOI10.14963/stmari.48.123

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Summary:22歳男性。右頬部皮下腫瘤を主訴に当科を受診した。造影CT検査にて右上顎洞を主座とする直径約60 mmの不均一な造影増強効果のある充実性腫瘤を認め,圧排性に発育することによる周囲の骨欠損を認めた。血瘤腫が最も疑われ,手術前日,放射線科にて右顎動脈より塞栓術施行後,耳鼻咽喉科にて全身麻酔下内視鏡下に腫瘍摘出術が施行された。病理組織学的検査においても血瘤腫の所見と一致した。摘出術から1年3か月が経過した後も再発は認めず,副鼻腔全体の含気は良好で骨の連続性も回復していた。 血瘤腫は主に鼻副鼻腔に生じる易出血性良性腫瘤の総称と定義される。臨床症状として鼻出血,鼻閉,鼻汁が多いことから,耳鼻咽喉科医にとっては比較的馴染みのある疾患だが,形成外科領域では極めて稀な疾患である。本疾患は,血流に富み安易に摘出術を試みると多量の出血を来たす可能性があるため,注意を要する。今回,われわれは骨欠損を伴い頬部皮下腫瘤として触知された上顎洞血瘤腫の一例を経験したので,文献的考察を加え報告する。
ISSN:0387-2289
2189-0285
DOI:10.14963/stmari.48.123