妊娠に関連した脳血管障害の外科治療

妊娠中および産褥期(分娩終了後より6週間)に発生する脳卒中は, 異常妊娠に合併して生ずる特異なものと, 非妊娠期にも生じうる一般的な脳卒中とに大別される. 前者としては, 妊娠中毒症による虚血性および出血性脳卒中, 絨毛上皮癌の脳動脈転移による脳塞栓, 羊水塞栓症などがあげられる. 後者は虚血性および出血性脳卒中, 静脈血栓症などである13). 妊娠中毒症は, いまだに妊娠中の脳卒中の主因となっており, 妊婦の死因の首座を占めている. しかし, その他の異常妊娠に合併して生ずる特異な脳卒中の発症頻度はきわめて低いといわれている3). これらの一般的な脳卒中や, 妊娠中毒症による虚血性, 出血性...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 28; no. 5; pp. 345 - 349
Main Authors 斉藤, 久寿, 大西, 晶子, 数又, 研, 宮町, 敬吉, 阿部, 弘, 会田, 敏光, 布村, 充, 宝金, 清博, 上山, 博康, 黒田, 敏
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2000
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs1987.28.5_345

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Summary:妊娠中および産褥期(分娩終了後より6週間)に発生する脳卒中は, 異常妊娠に合併して生ずる特異なものと, 非妊娠期にも生じうる一般的な脳卒中とに大別される. 前者としては, 妊娠中毒症による虚血性および出血性脳卒中, 絨毛上皮癌の脳動脈転移による脳塞栓, 羊水塞栓症などがあげられる. 後者は虚血性および出血性脳卒中, 静脈血栓症などである13). 妊娠中毒症は, いまだに妊娠中の脳卒中の主因となっており, 妊婦の死因の首座を占めている. しかし, その他の異常妊娠に合併して生ずる特異な脳卒中の発症頻度はきわめて低いといわれている3). これらの一般的な脳卒中や, 妊娠中毒症による虚血性, 出血性脳卒中に関して, 脳神経外科医がその治療を依頼される機会はけっしてまれではないと思われる. しかし, 実際にはこうした脳血管障害が妊娠中および産褥期に生じた場合は, 母体側と胎児側の問題の複雑な関連があり, 治療は必ずしも容易ではないし, それぞれの脳神経外科医が, 十分な経験を有するほど多くの症例があるわけでもない.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs1987.28.5_345