年長児の磁石誤飲による多発消化管穿孔の1例

症例は12歳男児.腹痛で発症し,その後嘔吐も認めるため発症3日目に救急病院を受診した.腹膜刺激症状があり,画像検査で腹部に金属製異物とfree airを認めため,当科に救急搬送された.消化管異物による消化管穿孔を疑い緊急開腹手術を施行した.術中所見で消化管異物は複数の磁石と金属であり,小腸-小腸と小腸-結腸の2か所で癒合し,癒合部位に穿通を認めた.異物をすべて摘出し手術を終了した.術後経過中に患児の異物摂食が目撃され,精神科医の診察により心因性ストレスによる異食症と診断された.術後2年経過しているが,現在も精神科のフォローは継続している.複数の磁石誤飲は消化管の瘻孔形成,穿通,穿孔,腸閉塞など...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 54; no. 5; pp. 1156 - 1160
Main Authors 馬場, 徳朗, 鈴東, 昌也, 家入, 里志, 松久保, 眞, 武藤, 充, 野口, 啓幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2018
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.54.5_1156

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Summary:症例は12歳男児.腹痛で発症し,その後嘔吐も認めるため発症3日目に救急病院を受診した.腹膜刺激症状があり,画像検査で腹部に金属製異物とfree airを認めため,当科に救急搬送された.消化管異物による消化管穿孔を疑い緊急開腹手術を施行した.術中所見で消化管異物は複数の磁石と金属であり,小腸-小腸と小腸-結腸の2か所で癒合し,癒合部位に穿通を認めた.異物をすべて摘出し手術を終了した.術後経過中に患児の異物摂食が目撃され,精神科医の診察により心因性ストレスによる異食症と診断された.術後2年経過しているが,現在も精神科のフォローは継続している.複数の磁石誤飲は消化管の瘻孔形成,穿通,穿孔,腸閉塞などさまざまな消化管障害を起こす危険性があり,積極的な治療介入が必要である.また年長児異物誤飲は,精神疾患が潜在している可能性を考慮し診療を進める必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.54.5_1156