多発性骨髄腫に対するレナリドミド初期投与量の適正使用と治療継続性の検討

「緒言」多発性骨髄腫において腎機能障害は, 高頻度に発生する合併症であり, 診断時には20~40%の患者にすでに発生しているとされている. その機序は高カルシウム血症や腎障害性の薬剤による影響よりも, 微小管構造や細繊維状, 細顆粒状の沈着物が糸球体において沈着することや, 軽鎖型M蛋白が近位尿細管において再吸収しきれずに遠位尿細管で重合を形成・閉塞させることが原因であると考えられている. しかし, プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬などの新規薬剤の使用により70%前後の患者において多発性骨髄腫による腎機能障害は改善し, 腎機能の改善は予後延長の予測因子としても有用であることが報告されている....

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Published in医療薬学 Vol. 43; no. 10; pp. 563 - 568
Main Authors 宇佐美, 英績, 木村, 美智男, 矢野, 忠, 市川, 訓, 吉村, 知哲, 谷川, 大夢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人日本医療薬学会 10.10.2017
日本医療薬学会
Subjects
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ISSN1346-342X
1882-1499
DOI10.5649/jjphcs.43.563

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Summary:「緒言」多発性骨髄腫において腎機能障害は, 高頻度に発生する合併症であり, 診断時には20~40%の患者にすでに発生しているとされている. その機序は高カルシウム血症や腎障害性の薬剤による影響よりも, 微小管構造や細繊維状, 細顆粒状の沈着物が糸球体において沈着することや, 軽鎖型M蛋白が近位尿細管において再吸収しきれずに遠位尿細管で重合を形成・閉塞させることが原因であると考えられている. しかし, プロテアソーム阻害薬や免疫調節薬などの新規薬剤の使用により70%前後の患者において多発性骨髄腫による腎機能障害は改善し, 腎機能の改善は予後延長の予測因子としても有用であることが報告されている. そのなかでも, 免疫調節薬であるサリドマイドの薬効増強と副作用軽減を目的として開発されたレナリドミドは, 2015年12月に国内で未治療の多発性骨髄腫も適応が追加となった.
ISSN:1346-342X
1882-1499
DOI:10.5649/jjphcs.43.563