超高齢社会における術後認知機能障害
超高齢社会を迎えた日本では,多くの高齢患者に全身麻酔下の手術が行われるようになった.それに伴い,高齢者において高頻度で出現する術後せん妄とは異なり,術後亜急性の経過で発症し,長期間持続する認知機能の低下について,術後認知機能障害(postoperative cognitive dysfunction:POCD)という概念で捉えられるようになっている.POCDは高齢,術前の認知機能低下,大脳白質病変,手術侵襲の程度や麻酔薬など,リスク因子が多数挙げられているが,病態機序を含めて明らかになっていないことが多い.POCDの概念や診断基準が曖昧であることから,本稿ではPOCDのリスク因子,病態機序に加...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 161 - 168 |
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Main Authors | , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.03.2018
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Subjects | |
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ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.38.161 |
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Summary: | 超高齢社会を迎えた日本では,多くの高齢患者に全身麻酔下の手術が行われるようになった.それに伴い,高齢者において高頻度で出現する術後せん妄とは異なり,術後亜急性の経過で発症し,長期間持続する認知機能の低下について,術後認知機能障害(postoperative cognitive dysfunction:POCD)という概念で捉えられるようになっている.POCDは高齢,術前の認知機能低下,大脳白質病変,手術侵襲の程度や麻酔薬など,リスク因子が多数挙げられているが,病態機序を含めて明らかになっていないことが多い.POCDの概念や診断基準が曖昧であることから,本稿ではPOCDのリスク因子,病態機序に加え,推奨される認知機能の評価方法などについて過去の文献を参考に述べる. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.38.161 |