気管支鏡下切除により気管支の狭窄が解除し得た気管支脂肪腫の1例

症例.78歳男性.咳嗽を主訴に,他院を受診したところ,CT上左B8気管支に脂肪濃度を呈する結節とその末梢側肺の軽度の無気肺を認め,当院紹介受診となった.気管支鏡検査では,比較的可動性のある腫瘍を認め,末梢の気管支内腔の観察は困難であったが,生検鉗子は腫瘍より末梢側へ挿入が可能であった.病理学的診断を得るために,気管支鏡下でのスネアによる切除を施行した.腫瘍の断端には脂肪組織がみられたが,切除後には左B8内腔は良好に観察可能となった.病理組織学的には肉腫成分などは認めず,気管支脂肪腫と診断された.術後経過は良好で術後4日で退院,半年後のCTでは腫瘍の遺残は認められるものの,無気肺は改善し,気管支...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 5; pp. 441 - 445
Main Authors 岩井, 俊, 船崎, 愛可, 関村, 敦, 浦本, 秀隆, 薄田, 勝男, 本野, 望
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.09.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.5_441

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Summary:症例.78歳男性.咳嗽を主訴に,他院を受診したところ,CT上左B8気管支に脂肪濃度を呈する結節とその末梢側肺の軽度の無気肺を認め,当院紹介受診となった.気管支鏡検査では,比較的可動性のある腫瘍を認め,末梢の気管支内腔の観察は困難であったが,生検鉗子は腫瘍より末梢側へ挿入が可能であった.病理学的診断を得るために,気管支鏡下でのスネアによる切除を施行した.腫瘍の断端には脂肪組織がみられたが,切除後には左B8内腔は良好に観察可能となった.病理組織学的には肉腫成分などは認めず,気管支脂肪腫と診断された.術後経過は良好で術後4日で退院,半年後のCTでは腫瘍の遺残は認められるものの,無気肺は改善し,気管支の再狭窄はみられないこと,患者,家族も根治的な手術的切除を希望されなかったことにより,外来経過観察中である.結語.気管支外へ進展する気管支脂肪腫に対して気管支鏡下に切除を行った.根治的切除は困難であったが,気管支狭窄と無気肺の解除には有効であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.5_441