ステロイド治療効果判定にMRI拡散強調画像が有用であった自己免疫性膵炎の1例
症例は40歳代の男性.心窩部の違和感にて当院を受診し,血液検査で炎症反応と膵酵素の上昇を認めた.CTでは,膵尾部に限局した腫大を認め,平衡相で淡い造影効果を認めた.EUSで同病変は43×27mm大の低エコー腫瘤として描出され,MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,拡散強調画像(DWI)で著明な高信号を呈した.ERCPでは膵尾部主膵管に約20mmの狭細像を認めた.EUS-FNAでは悪性所見は認めず,慢性炎症細胞浸潤を認めた.また,血清IgG4は432mg/dlと上昇を認めた.以上より膵尾部に限局した自己免疫性膵炎と診断しPSL 40mg/日より開始した.治療開始7日目のDWIでは...
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Published in | 膵臓 Vol. 27; no. 4; pp. 608 - 616 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
2012
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.27.608 |
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Summary: | 症例は40歳代の男性.心窩部の違和感にて当院を受診し,血液検査で炎症反応と膵酵素の上昇を認めた.CTでは,膵尾部に限局した腫大を認め,平衡相で淡い造影効果を認めた.EUSで同病変は43×27mm大の低エコー腫瘤として描出され,MRIではT1強調画像で低信号,T2強調画像で高信号,拡散強調画像(DWI)で著明な高信号を呈した.ERCPでは膵尾部主膵管に約20mmの狭細像を認めた.EUS-FNAでは悪性所見は認めず,慢性炎症細胞浸潤を認めた.また,血清IgG4は432mg/dlと上昇を認めた.以上より膵尾部に限局した自己免疫性膵炎と診断しPSL 40mg/日より開始した.治療開始7日目のDWIでは膵尾部の高信号域の縮小および信号低下を認め,ADC値は1.05×10-3mm2/sから1.25×10-3mm2/sと改善を示した.治療開始2週間後には膵尾部の腫大,膵管の狭細像の改善を認めた. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.27.608 |