思春期腸重積症を発症し緊急手術後に判明した回盲部悪性リンパ腫の1例

「緒言」腸重積症は小児科領域では急性腹症の原因として鑑別の必要がある疾患であり, 97.3%の症例は基礎疾患を持たない特発性の腸重積症であるとの報告がある. しかし, 中には基礎疾患による病的先進部を原因とした腸重積症が存在し, その中でも悪性リンパ腫による腸重積症は基礎疾患を認めた腸重積症内で5.5%の頻度であったとの報告がある. 思春期の腸重積症は急性腹症として発症し, 術前診断不明なまま緊急手術を要することも少なくない. 今回われわれは急性腹症を伴う腸重積症を発症し, 緊急手術後に回盲部悪性リンパ腫を診断した15歳の男子を経験したので文献的に考察を加えて報告する. 「症例」15歳の男子「...

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Published in日本医科大学医学会雑誌 Vol. 16; no. 3; pp. 155 - 159
Main Authors 右田, 真, 植田, 高弘, 板橋, 寿和, 伊藤, 保彦, 福永, 遼平, 石木, 義人
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本医科大学医学会 25.06.2020
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ISSN1349-8975
1880-2877
DOI10.1272/manms.16.155

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Summary:「緒言」腸重積症は小児科領域では急性腹症の原因として鑑別の必要がある疾患であり, 97.3%の症例は基礎疾患を持たない特発性の腸重積症であるとの報告がある. しかし, 中には基礎疾患による病的先進部を原因とした腸重積症が存在し, その中でも悪性リンパ腫による腸重積症は基礎疾患を認めた腸重積症内で5.5%の頻度であったとの報告がある. 思春期の腸重積症は急性腹症として発症し, 術前診断不明なまま緊急手術を要することも少なくない. 今回われわれは急性腹症を伴う腸重積症を発症し, 緊急手術後に回盲部悪性リンパ腫を診断した15歳の男子を経験したので文献的に考察を加えて報告する. 「症例」15歳の男子「主訴」: 腹痛「現病歴」: 入院当日, 11時頃から突然の激しい腹痛を自覚し, 紹介医を受診した. 腹部CT検査で腸管拡張像があり急性腹症と診断され21時に当院救命センターへ紹介となった.
ISSN:1349-8975
1880-2877
DOI:10.1272/manms.16.155