卵巣癌切除術中に肺血栓塞栓症を発症したが,迅速な対応で後遺症なく退院しえた1症例

63歳の女性.卵巣癌切除術中に,突然の酸素飽和度の低下,血圧低下,呼気終末二酸化炭素分圧の低下を認め,術中肺塞栓を疑い,循環動態の安定化を図ると同時に,経食道心エコー法(TEE)を行った.右肺動脈内に血栓塞栓を認め,肺血栓塞栓症の確定診断のもと迅速な治療を行い,後遺症なく退院することができた.術当日撮影した造影CTでは血栓は消失しており,経食道心エコー法を実施しなかった場合,確定診断がつけられなかった可能性があった.術中発症の肺塞栓を疑った場合には,可能な限り早期に経食道心エコー法を行うことが重要であると考えられた....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 35; no. 2; pp. 182 - 186
Main Authors 西部, 伸一, 伊藤, 一志, 辻田, 美紀, 関口, 淳裕, 三枝, 勉, 北村, 晶
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 14.03.2015
Subjects
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.35.182

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Summary:63歳の女性.卵巣癌切除術中に,突然の酸素飽和度の低下,血圧低下,呼気終末二酸化炭素分圧の低下を認め,術中肺塞栓を疑い,循環動態の安定化を図ると同時に,経食道心エコー法(TEE)を行った.右肺動脈内に血栓塞栓を認め,肺血栓塞栓症の確定診断のもと迅速な治療を行い,後遺症なく退院することができた.術当日撮影した造影CTでは血栓は消失しており,経食道心エコー法を実施しなかった場合,確定診断がつけられなかった可能性があった.術中発症の肺塞栓を疑った場合には,可能な限り早期に経食道心エコー法を行うことが重要であると考えられた.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.35.182