術前に免疫吸着療法で管理した全身型重症筋無力症患者における肝切除術の麻酔管理

54歳,女性.10代で重症筋無力症を発症.54歳時にクリーゼがみられ,精査時に発見された肝腫瘍に対して肝右葉切除術が予定された.入院時に球麻痺症状が持続していたため,術前に免疫吸着療法を施行し,手術時に症状は改善していた.麻酔維持は硬膜外麻酔とセボフルランによる全身麻酔で行った.術中は筋弛緩モニタリングを行い,手術終了時にTOF比1.0への回復を確認後,スガマデクスにより筋弛緩薬を拮抗し抜管した.しかし手術12時間後には軽度の呼吸困難を訴えた.全身型重症筋無力症患者を術前に免疫吸着療法で管理しても,術後早期からクリーゼを引き起こす可能性があるため,術後の看視を怠ってはならないと考えられる....

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 34; no. 4; pp. 505 - 509
Main Authors 佐藤, 暢一, 寺田, 享志, 落合, 亮一, 小田, 富士子, 佐藤, 聖子, 原田, 昇幸
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 2014
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.34.505

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Summary:54歳,女性.10代で重症筋無力症を発症.54歳時にクリーゼがみられ,精査時に発見された肝腫瘍に対して肝右葉切除術が予定された.入院時に球麻痺症状が持続していたため,術前に免疫吸着療法を施行し,手術時に症状は改善していた.麻酔維持は硬膜外麻酔とセボフルランによる全身麻酔で行った.術中は筋弛緩モニタリングを行い,手術終了時にTOF比1.0への回復を確認後,スガマデクスにより筋弛緩薬を拮抗し抜管した.しかし手術12時間後には軽度の呼吸困難を訴えた.全身型重症筋無力症患者を術前に免疫吸着療法で管理しても,術後早期からクリーゼを引き起こす可能性があるため,術後の看視を怠ってはならないと考えられる.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.34.505