陰茎癌に対する光力学的治療の経験

非浸澗性乳頭状陰茎癌2例および浸潤性陰茎癌2例に対してヘマトポルフィリン誘導体 (HpD) と励起光としてアルゴン・色素レーザーの赤色光 (波長630nm) を用いた光力学的治療 (PDT) を行った。組織学的には全例扁平上皮癌であった。HpD2-3rng/kg投与72-96時間後に治療を行い, 浸潤性の2例に対しては組織内PDTを追加した。光照射エネルギー量は60-300Joules/cm2とした。PDTL1-2日後には腫瘍壊死が認められ, 腫瘍は急速に縮小した。乳頭状増殖を示した2例にCRが得られ, 1例は40か月後の現在再発なく, 生存中である。他の1例は陰茎局所の再発は認められなかった...

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Published in日本レーザー医学会誌 Vol. 8; no. 2; pp. 45 - 52
Main Authors 久住, 治男, 三崎, 俊光, 内藤, 克輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本レーザー医学会 1987
日本レーザー医学会
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ISSN0288-6200
1881-1639
DOI10.2530/jslsm1980.8.2_45

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Summary:非浸澗性乳頭状陰茎癌2例および浸潤性陰茎癌2例に対してヘマトポルフィリン誘導体 (HpD) と励起光としてアルゴン・色素レーザーの赤色光 (波長630nm) を用いた光力学的治療 (PDT) を行った。組織学的には全例扁平上皮癌であった。HpD2-3rng/kg投与72-96時間後に治療を行い, 浸潤性の2例に対しては組織内PDTを追加した。光照射エネルギー量は60-300Joules/cm2とした。PDTL1-2日後には腫瘍壊死が認められ, 腫瘍は急速に縮小した。乳頭状増殖を示した2例にCRが得られ, 1例は40か月後の現在再発なく, 生存中である。他の1例は陰茎局所の再発は認められなかったが, 骨, 肺転移により, 9か月後に苑亡した。浸潤挫陰茎癌2例においてはPDT後, 陰茎海綿体へ浸潤する腫瘍の残存が認められ, それぞれ11および2か月後に多発性転移により死亡した。 PDT直後の組織学的検討において著明な腫瘍血管の拡張, 間質内出血および血管内皮の核クロマチンの変性が観察され, PDTによる腫瘍組織破壊に腫瘍血管の障害が大きく関与するものと推定された。
ISSN:0288-6200
1881-1639
DOI:10.2530/jslsm1980.8.2_45