超音波内視鏡検査にて主膵管狭窄部周囲の低エコー領域を認めなかった,pT1a膵癌の2例

症例1は59歳女性,症例2は62歳女性.いずれも膵頭部膵管の限局性狭窄と上流膵管の拡張を指摘されたが,腹部造影CT,MRI,FDG-PET検査にて膵に腫瘤や高度脂肪化の所見は認めなかった.また,超音波内視鏡検査(EUS)にても狭窄部周囲に腫瘤や低エコー領域は指摘されなかった.内視鏡的逆行性膵管造影による連続膵液細胞診(SPACE)にて腺癌が疑われたため膵上皮内癌による膵管狭窄と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.それぞれ腫瘍径0.4×0.3cmと0.3×0.2cmのpT1a膵癌で主膵管内にはPanIN high gradeの所見を認めた.症例1はリンパ節転移を認めた.膵管の限局性狭窄と上流膵...

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Published in膵臓 Vol. 32; no. 5; pp. 852 - 858
Main Authors 寺田, 修三, 佐藤, 辰宣, 菊山, 正隆, 金本, 秀行, 新井, 一守, 川口, 真矢
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.10.2017
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.32.852

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Summary:症例1は59歳女性,症例2は62歳女性.いずれも膵頭部膵管の限局性狭窄と上流膵管の拡張を指摘されたが,腹部造影CT,MRI,FDG-PET検査にて膵に腫瘤や高度脂肪化の所見は認めなかった.また,超音波内視鏡検査(EUS)にても狭窄部周囲に腫瘤や低エコー領域は指摘されなかった.内視鏡的逆行性膵管造影による連続膵液細胞診(SPACE)にて腺癌が疑われたため膵上皮内癌による膵管狭窄と診断し,膵頭十二指腸切除術を施行した.それぞれ腫瘍径0.4×0.3cmと0.3×0.2cmのpT1a膵癌で主膵管内にはPanIN high gradeの所見を認めた.症例1はリンパ節転移を認めた.膵管の限局性狭窄と上流膵管の拡張所見を認めた場合,特に膵頭部病変においてはEUSにて狭窄部周囲に腫瘤や低エコー領域が指摘されなくても浸潤癌の可能性も念頭にSPACEの実施を検討する必要が考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.32.852