保存的加療で軽快した超高齢者穿通性胃潰瘍の1例

手術リスクが高いと推定される97歳女性の超高齢者穿通性潰瘍例を, 保存的に加療した. 超高齢者での穿通性胃潰瘍の治療においては, 外科的治療のリスクの観点から, 治療法の選択が問題となる. 筋性防御などの腹膜炎症状が乏しい事と, 腹水が見られない事が保存的加療の選択に重要と考えられた. 今後の高齢化社会において, 貴重な経験と考え報告する. はじめに プロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitor, PPI), や内視鏡的クリップ閉鎖術の普及により, 消化性潰瘍の死亡率, 外科的手術は減少しつつある1,2). しかし, 穿通性潰瘍などでは, 依然として外科的治療が大きな役割を...

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Published in山口医学 Vol. 56; no. 5; pp. 161 - 165
Main Authors 谷岡, ゆかり, 林, 弘人, 坂口, 栄樹, 中野, 雅之, 柳井, 秀雄, 河村, 宜克
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 山口大学医学会 2007
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ISSN0513-1731
1880-4462
DOI10.2342/ymj.56.161

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Summary:手術リスクが高いと推定される97歳女性の超高齢者穿通性潰瘍例を, 保存的に加療した. 超高齢者での穿通性胃潰瘍の治療においては, 外科的治療のリスクの観点から, 治療法の選択が問題となる. 筋性防御などの腹膜炎症状が乏しい事と, 腹水が見られない事が保存的加療の選択に重要と考えられた. 今後の高齢化社会において, 貴重な経験と考え報告する. はじめに プロトンポンプ阻害剤(proton pump inhibitor, PPI), や内視鏡的クリップ閉鎖術の普及により, 消化性潰瘍の死亡率, 外科的手術は減少しつつある1,2). しかし, 穿通性潰瘍などでは, 依然として外科的治療が大きな役割を果たしている2~4). その一方で, 超高齢者(85歳以上と定義)4,5)においては, 外科的治療のリスクの観点から治療方法の選択に慎重な配慮を要する場合も存在する. 今回我々は, 保存的に治療した超高齢者穿通性胃潰瘍の1例を経験したので, 若干の文献的考察をふまえて報告する.
ISSN:0513-1731
1880-4462
DOI:10.2342/ymj.56.161