超音波ガイド下神経ブロックの進歩─腕神経叢ブロック
[要旨] 腕神経叢ブロックは, ランドマーク法や神経刺激法による限られた熟練者の技術であったが, 過去10年間の超音波ガイド法の普及により, 多くの麻酔科医が施行する技術へと変化した. 神経と針先の位置を正確に捉え, 局所麻酔薬の拡がりが調節可能であり, 必要な局所麻酔薬の減量と副作用の軽減が示されている. また知覚神経のみ遮断し運動機能を温存した選択的ブロックは今後多様化する上肢手術への対応が期待できる. 「はじめに」1911年にHirschが初めて経皮的腋窩アプローチによる腕神経叢ブロック3例に成功し, 同年にKulenkampffが経皮的鎖骨上アプローチを発表した. Kulenkampf...
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Published in | 日本臨床麻酔学会誌 Vol. 38; no. 2; pp. 265 - 269 |
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Main Authors | , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本臨床麻酔学会
15.03.2018
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0285-4945 1349-9149 |
DOI | 10.2199/jjsca.38.265 |
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Summary: | [要旨] 腕神経叢ブロックは, ランドマーク法や神経刺激法による限られた熟練者の技術であったが, 過去10年間の超音波ガイド法の普及により, 多くの麻酔科医が施行する技術へと変化した. 神経と針先の位置を正確に捉え, 局所麻酔薬の拡がりが調節可能であり, 必要な局所麻酔薬の減量と副作用の軽減が示されている. また知覚神経のみ遮断し運動機能を温存した選択的ブロックは今後多様化する上肢手術への対応が期待できる. 「はじめに」1911年にHirschが初めて経皮的腋窩アプローチによる腕神経叢ブロック3例に成功し, 同年にKulenkampffが経皮的鎖骨上アプローチを発表した. Kulenkampff法は成功率が高く広く普及したが, 施行者の増加とともに気胸などの合併症の報告が相次いだため, 胸膜損傷の危険性を最小限にするアプローチとしてBazyが鎖骨下アプローチに発展させた. |
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ISSN: | 0285-4945 1349-9149 |
DOI: | 10.2199/jjsca.38.265 |