遡及調査にて判明した輸血後B型肝炎ウイルス感染の1例

遡及調査の対象となった血液製剤を輸血された患者で,6カ月目にHBs抗原が陽転化した症例を経験した.受血者は急性白血病の治療中であった61歳男性.ラミブジン投与により輸血後B型急性肝炎の発症を阻止し得た.輸血前には患者のHBV関連マーカーは全て陰性であった.献血者血液と患者血清についてHBVの全塩基配列を比較した結果1塩基をのぞき一致したため輸血による感染と確定した.感染源とされる献血サンプルは高感度の個別核酸増幅検査(NAT)にてHBV DNAを検出した.本症例は,当院にて全数調査に登録した輸血患者921例の中の1症例であった.輸血後にHBV DNAの陽転化した他の8例では,輸血された血液製剤...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in日本輸血細胞治療学会誌 Vol. 54; no. 3; pp. 393 - 397
Main Authors 藤野, 惠三, 日野, 雅之, 田守, 昭博, 武田, 和弘, 西口, 修平, 尾嶋, 成子, 河田, 則文
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本輸血・細胞治療学会 2008
日本輸血・細胞治療学会
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN1881-3011
1883-0625
DOI10.3925/jjtc.54.393

Cover

More Information
Summary:遡及調査の対象となった血液製剤を輸血された患者で,6カ月目にHBs抗原が陽転化した症例を経験した.受血者は急性白血病の治療中であった61歳男性.ラミブジン投与により輸血後B型急性肝炎の発症を阻止し得た.輸血前には患者のHBV関連マーカーは全て陰性であった.献血者血液と患者血清についてHBVの全塩基配列を比較した結果1塩基をのぞき一致したため輸血による感染と確定した.感染源とされる献血サンプルは高感度の個別核酸増幅検査(NAT)にてHBV DNAを検出した.本症例は,当院にて全数調査に登録した輸血患者921例の中の1症例であった.輸血後にHBV DNAの陽転化した他の8例では,輸血された血液製剤の該当する保管検体について個別NATを実施したがHBV DNAを検出しなかった.この8例中7例がHBc抗体陽性でありHBV感染晩期のためHBs抗原が陰性であったが,原疾患の進行や医療行為によりHBVの再活性化の生じた可能性が高いと考えられた.
ISSN:1881-3011
1883-0625
DOI:10.3925/jjtc.54.393