肺葉切除後の遅発性気管支断端瘻に対してフィブリン糊とポリグリコール酸シートによる気管支鏡下瘻孔閉鎖術が奏功した1例

背景.遅発性気管支断端瘻に対する気管支鏡下瘻孔閉鎖術の報告は極めて少ない.症例.60歳代男性.右下葉肺扁平上皮癌に対して右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清を行った.病理病期T3N1M0,IIIA期(第7版)のため,CarboplatinとGemcitabineによる術後補助化学療法を4コース施行した.術後6カ月時の胸部単純写真で右下葉気管支断端近傍に鏡面形成を認めた.気管支鏡検査にて右下葉気管支断端に径3 mm,深さ20 mmの瘻孔形成を認め,遅発性気管支瘻と診断した.気管支鏡下にフィブリン糊とポリグリコール酸シートを充填材とし,瘻孔の末端部と入口部の2カ所に分けて充填を行った.少なくとも3週...

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Published in気管支学 Vol. 43; no. 2; pp. 134 - 138
Main Authors 下山, 孝一郎, 生田, 安司, 土肥, 良一郎, 永安, 武, 赤嶺, 晋治, 蒲原, 涼太郎, 谷口, 大輔
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2021
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.43.2_134

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Summary:背景.遅発性気管支断端瘻に対する気管支鏡下瘻孔閉鎖術の報告は極めて少ない.症例.60歳代男性.右下葉肺扁平上皮癌に対して右下葉切除術および縦隔リンパ節郭清を行った.病理病期T3N1M0,IIIA期(第7版)のため,CarboplatinとGemcitabineによる術後補助化学療法を4コース施行した.術後6カ月時の胸部単純写真で右下葉気管支断端近傍に鏡面形成を認めた.気管支鏡検査にて右下葉気管支断端に径3 mm,深さ20 mmの瘻孔形成を認め,遅発性気管支瘻と診断した.気管支鏡下にフィブリン糊とポリグリコール酸シートを充填材とし,瘻孔の末端部と入口部の2カ所に分けて充填を行った.少なくとも3週間以上の瘻孔充填を確認し,断端瘻を治癒せしめた.結論.瘻孔径3 mmの遅発性気管支断端瘻に対するフィブリン糊とポリグリコール酸シートを用いた気管支鏡下瘻孔閉鎖術は有用であった.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.43.2_134