EUS-FNAで診断し得た膵腺房細胞癌の2例

EUS-FNAで膵腺房細胞癌(ACC)と診断し得た2例について,その組織像を中心に報告する.2例とも70歳代男性で,腫瘍径はそれぞれ95mm,56mmであった.いずれも発見時に肝転移が認められた.EUS-FNAで得られた腫瘍組織は,類円形核,好酸性胞体を持つ異型細胞の充実性から腺房様増殖からなり,ACCと神経内分泌腫瘍(NET)が鑑別となった.免疫染色では種々の程度にsynaptophysinなどの神経内分泌マーカーが陽性となり,ACCとNETとの鑑別を要したが,いずれの症例もBCL10がびまん性かつ強く発現しており,腺房細胞癌と診断し得た.BCL10はACCに特異性の高いマーカーとして近年同...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 30; no. 6; pp. 805 - 811
Main Authors 黒田, 大介, 佐貫, 毅, 宮本, 直和, 神澤, 真紀, 全, 陽, 沢, 秀博
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.12.2015
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.30.805

Cover

More Information
Summary:EUS-FNAで膵腺房細胞癌(ACC)と診断し得た2例について,その組織像を中心に報告する.2例とも70歳代男性で,腫瘍径はそれぞれ95mm,56mmであった.いずれも発見時に肝転移が認められた.EUS-FNAで得られた腫瘍組織は,類円形核,好酸性胞体を持つ異型細胞の充実性から腺房様増殖からなり,ACCと神経内分泌腫瘍(NET)が鑑別となった.免疫染色では種々の程度にsynaptophysinなどの神経内分泌マーカーが陽性となり,ACCとNETとの鑑別を要したが,いずれの症例もBCL10がびまん性かつ強く発現しており,腺房細胞癌と診断し得た.BCL10はACCに特異性の高いマーカーとして近年同定され,Trypsinを含めた既知のマーカーよりも発現がびまん性かつ強いことが多く,EUS-FNAを含めた微小検体でのACCの診断に有用であると思われる.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.30.805