膵十二指腸神経内分泌腫瘍のリンパ節転移と鑑別が困難であった膵頭部前方の傍神経節腫の1例

症例は74歳,女性.他院の腹部超音波検査(ultrasonography:US)で胆嚢周囲の腫瘍性病変を指摘されて当院消化器内科へ紹介受診となった.CTおよびMRIで膵頭部の腹側に造影早期に濃染する楕円形腫瘤を認め,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)のリンパ節転移が疑われた.EUS-FNA下穿刺吸引細胞診によってもNETが疑われた.ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(somatostatin receptor scintigraphy:SRS)で腫瘍に一致した集積を認めた.血清膵ホルモン値は正常範囲内であった.非機能性NETのリンパ節転移を最も考えたが膵十二指...

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Published in膵臓 Vol. 34; no. 5; pp. 214 - 221
Main Authors 小橋, 優子, 財部, 紗基子, 佐々木, 文, 松井, 淳一, 瀧川, 穣, 矢ケ部, 浩之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 25.10.2019
Subjects
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ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.34.214

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Summary:症例は74歳,女性.他院の腹部超音波検査(ultrasonography:US)で胆嚢周囲の腫瘍性病変を指摘されて当院消化器内科へ紹介受診となった.CTおよびMRIで膵頭部の腹側に造影早期に濃染する楕円形腫瘤を認め,神経内分泌腫瘍(neuroendocrine tumor:NET)のリンパ節転移が疑われた.EUS-FNA下穿刺吸引細胞診によってもNETが疑われた.ソマトスタチン受容体シンチグラフィー(somatostatin receptor scintigraphy:SRS)で腫瘍に一致した集積を認めた.血清膵ホルモン値は正常範囲内であった.非機能性NETのリンパ節転移を最も考えたが膵十二指腸に原発巣と思われる病変は術前に同定出来なかった.開腹により膵十二指腸に病変がないことを確認し腫瘍切除術が施行され傍神経節腫(paraganglioma:PG)と病理診断された.腫瘍が膵頭部前方という稀な部位に存在し,膵十二指腸NETのリンパ節転移と酷似していること,EUS-FNAでの生検検体で両者の鑑別がしきれなかったこと,非機能性のPGであったことなどが術前診断を困難にしたと考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.34.214