改良型アデノウイルスベクターを用いた造血幹細胞, 間葉系幹細胞, ES細胞への高効率遺伝子導入

はじめに 造血幹細胞, 間葉系幹細胞, ES細胞(多能性幹細胞)をはじめとする幹細胞は, 自己複製能を有する一方で, 多くの種類の細胞を産生する多分化能を有することから, 再生医療のための細胞ソースとして注目されている. また, 近年の研究によりこれら幹細胞の自己複製能の維持や, 特定の細胞への分化能の獲得に関与する遺伝子が次々と同定され, 細胞分化を自在に制御することも可能になりつつある. 細胞増殖・分化の分子機構の解明には外来遺伝子を導入して発現させたり, あるいは特定の遺伝子の発現を抑制させたりすることが必要であり, 効率の良い遺伝子導入法は必要不可欠である. これまでは, 造血幹細胞や...

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Published in炎症・再生 Vol. 25; no. 5; pp. 447 - 451
Main Authors 川端, 健二, 水口, 裕之, 早川, 堯夫, 櫻井, 文教
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本炎症・再生医学会 2005
日本炎症・再生医学会
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ISSN1346-8022
1880-5795
DOI10.2492/jsir.25.447

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Summary:はじめに 造血幹細胞, 間葉系幹細胞, ES細胞(多能性幹細胞)をはじめとする幹細胞は, 自己複製能を有する一方で, 多くの種類の細胞を産生する多分化能を有することから, 再生医療のための細胞ソースとして注目されている. また, 近年の研究によりこれら幹細胞の自己複製能の維持や, 特定の細胞への分化能の獲得に関与する遺伝子が次々と同定され, 細胞分化を自在に制御することも可能になりつつある. 細胞増殖・分化の分子機構の解明には外来遺伝子を導入して発現させたり, あるいは特定の遺伝子の発現を抑制させたりすることが必要であり, 効率の良い遺伝子導入法は必要不可欠である. これまでは, 造血幹細胞や間葉系幹細胞, ES細胞への遺伝子導入にはレトロウイルスベクターやレンチウイルスベクターが汎用されてきたが, これらのベクターによる遺伝子発現は染色体への導入遺伝子の組み込みを伴うため長期的・永続的なものとなり, 細胞分化が起こった後も導入遺伝子の発現は続くことになる.
ISSN:1346-8022
1880-5795
DOI:10.2492/jsir.25.447