副脾捻転の術前診断で摘出術を施行した消化管外アニサキス症の1例

症例は14歳男児.来院3か月前に左側腹部痛を自覚し,その後も症状が反復するため来院2週間前に前医を受診した.造影CT検査で脾臓近傍に10 mm大の腫瘤を認めたため副脾捻転が疑われ,当院紹介となった.造影MRI検査でも同様の診断で待機的に腹腔鏡下腫瘤摘出術の方針とした.術中に脾臓近傍の大網内に表面平滑な淡赤色の腫瘤を認め,腹腔鏡下に摘出した.内部が白色の充実性腫瘤で,病理学的には腫瘤の中心にアニサキス虫体を認め,消化管外アニサキス症と診断した.消化管外アニサキス症は初回感染時に虫体が消化管壁を貫通し,腹腔内で緩徐に肉芽腫を形成することで発症する.アニサキス症全体の0.5%とまれな疾患であり,術前...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 56; no. 4; pp. 414 - 420
Main Authors 神保, 教広, 白根, 和樹, 千葉, 史子, 佐々木, 理人, 高安, 肇, 五藤, 周, 小野, 健太郎, 瓜田, 泰久, 増本, 幸二, 新開, 統子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2020
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.56.4_414

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Summary:症例は14歳男児.来院3か月前に左側腹部痛を自覚し,その後も症状が反復するため来院2週間前に前医を受診した.造影CT検査で脾臓近傍に10 mm大の腫瘤を認めたため副脾捻転が疑われ,当院紹介となった.造影MRI検査でも同様の診断で待機的に腹腔鏡下腫瘤摘出術の方針とした.術中に脾臓近傍の大網内に表面平滑な淡赤色の腫瘤を認め,腹腔鏡下に摘出した.内部が白色の充実性腫瘤で,病理学的には腫瘤の中心にアニサキス虫体を認め,消化管外アニサキス症と診断した.消化管外アニサキス症は初回感染時に虫体が消化管壁を貫通し,腹腔内で緩徐に肉芽腫を形成することで発症する.アニサキス症全体の0.5%とまれな疾患であり,術前診断は困難である.多くは無症状で経過し他疾患の術中に偶然発見されるが,一部は肉芽腫が原因となって腹痛を引き起こすこともあるため,注意が必要であると考えられた.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.56.4_414