脳血管攣縮期に再出血や虚血症状で初めて確定診断を受けたくも膜下出血の臨床的検討

『緒言・目的』 くも膜下出血(以下SAHと略す)の典型的な初発症状として, 突然発症する経験したことのない激しい頭痛が知られている2). しかし軽症SAHの中には, 軽症が故に医療機関を受診しない場合がある. また受診しても筋緊張性頭痛, 片頭痛, 感冒などと誤って診断されることもある. その後に再出血や脳血管攣縮(以下VSと略す)による脳局所症状を呈し, 初めて破裂脳動脈瘤の正確な診断がなされる事例が存在する. 一方でVSを伴う時期では, 診断直後での動脈瘤に対する治療は難しいこともあり, またVSにより脳梗塞に陥ると転帰不良に直結する. 今回われわれは, 破裂脳動脈瘤によるSAH症例の中で...

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Published in脳卒中の外科 Vol. 39; no. 3; pp. 217 - 221
Main Authors 師井, 淳太, 山下, 真吾, 武藤, 達士, 安井, 信之, 吉岡, 正太郎, 鈴木, 明文, 福井, 一生, 引地, 堅太郎, 石川, 達哉, 玉川, 紀之
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 一般社団法人 日本脳卒中の外科学会 2011
日本脳卒中の外科学会
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ISSN0914-5508
1880-4683
DOI10.2335/scs.39.217

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Summary:『緒言・目的』 くも膜下出血(以下SAHと略す)の典型的な初発症状として, 突然発症する経験したことのない激しい頭痛が知られている2). しかし軽症SAHの中には, 軽症が故に医療機関を受診しない場合がある. また受診しても筋緊張性頭痛, 片頭痛, 感冒などと誤って診断されることもある. その後に再出血や脳血管攣縮(以下VSと略す)による脳局所症状を呈し, 初めて破裂脳動脈瘤の正確な診断がなされる事例が存在する. 一方でVSを伴う時期では, 診断直後での動脈瘤に対する治療は難しいこともあり, またVSにより脳梗塞に陥ると転帰不良に直結する. 今回われわれは, 破裂脳動脈瘤によるSAH症例の中で, VSに伴う脳虚血症状, あるいはVSの症状を伴う再出血を契機として初めて専門医を受診し, 正確な診断がなされた症例の臨床的特徴に関し検討した. 『対象・方法』 2001年1月から2009年6月の期間に当施設にて加療した破裂脳動脈瘤によるSAH患者581症例を対象とした.
ISSN:0914-5508
1880-4683
DOI:10.2335/scs.39.217