膵炎を契機に診断された16歳の非拡張型膵・胆管合流異常に対して胆嚢・胆管切除を施行した1例

症例は16歳,男性.前医で急性膵炎に対して保存的加療後,若年発症の膵炎精査目的に当院紹介受診となった.腹部US検査とEUS検査にて胆嚢壁肥厚を,ERCP検査にて膵・胆管合流異常を認めた.胆管径は4.7mmであり,非拡張型と診断した.胆汁AMY値は302,300U/Lと高値であった.膵炎の原因として,胆石性,腫瘍性,自己免疫性等は否定的であり,膵・胆管合流異常であると考えられたため,胆嚢・胆管切除術を施行した.病理組織学的検査では,慢性胆嚢炎・胆管炎の診断で悪性所見は認めなかった.術後合併症なく,術後10日目に退院し,外来にて経過観察中であるが,膵炎の再発は認めていない.膵炎の再発や発癌リスクを...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in胆道 Vol. 34; no. 5; pp. 878 - 882
Main Authors 上村, 健一郎, 中川, 直哉, 瀬尾, 信吾, 村上, 義昭, 近藤, 成, 森, 政悠, 岡田, 健司郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本胆道学会 31.12.2020
Subjects
Online AccessGet full text
ISSN0914-0077
1883-6879
DOI10.11210/tando.34.878

Cover

More Information
Summary:症例は16歳,男性.前医で急性膵炎に対して保存的加療後,若年発症の膵炎精査目的に当院紹介受診となった.腹部US検査とEUS検査にて胆嚢壁肥厚を,ERCP検査にて膵・胆管合流異常を認めた.胆管径は4.7mmであり,非拡張型と診断した.胆汁AMY値は302,300U/Lと高値であった.膵炎の原因として,胆石性,腫瘍性,自己免疫性等は否定的であり,膵・胆管合流異常であると考えられたため,胆嚢・胆管切除術を施行した.病理組織学的検査では,慢性胆嚢炎・胆管炎の診断で悪性所見は認めなかった.術後合併症なく,術後10日目に退院し,外来にて経過観察中であるが,膵炎の再発は認めていない.膵炎の再発や発癌リスクを考慮すると,青年期の非拡張型膵・胆管合流異常に対する治療方針として,胆嚢・胆管切除術は有効である可能性が示唆された.
ISSN:0914-0077
1883-6879
DOI:10.11210/tando.34.878