原発不明癌による食道狭窄,気管食道瘻に対し気管ステント,食道ステントを留置し,経口摂取が可能となった1例
背景.気管食道瘻は悪性腫瘍などによる重篤な合併症であり,絶飲食により著しくQOLが低下する.症例.70歳の男性.気管,食道を圧排,浸潤する縦隔リンパ節腫脹を指摘され,同部位より扁平上皮癌が検出された.全身精査がなされたが原発巣は不明であり,原発不明縦隔リンパ節扁平上皮癌,気管,食道浸潤と診断された.狭窄率90%の気管狭窄を認め,気管支鏡による拡張術後,化学放射線治療が施行された.治療終了4か月後,咳嗽や食事摂取後のむせを自覚し,気管食道瘻,食道狭窄,誤嚥性肺炎と診断され,食道ステントを留置する方針となった.食道ステントによる気道閉塞のリスクを考慮し,気管ステント(Dumon stent)留置後...
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Published in | 気管支学 Vol. 42; no. 2; pp. 188 - 192 |
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Main Authors | , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会
25.03.2020
日本呼吸器内視鏡学会 |
Subjects | |
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ISSN | 0287-2137 2186-0149 |
DOI | 10.18907/jjsre.42.2_188 |
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Summary: | 背景.気管食道瘻は悪性腫瘍などによる重篤な合併症であり,絶飲食により著しくQOLが低下する.症例.70歳の男性.気管,食道を圧排,浸潤する縦隔リンパ節腫脹を指摘され,同部位より扁平上皮癌が検出された.全身精査がなされたが原発巣は不明であり,原発不明縦隔リンパ節扁平上皮癌,気管,食道浸潤と診断された.狭窄率90%の気管狭窄を認め,気管支鏡による拡張術後,化学放射線治療が施行された.治療終了4か月後,咳嗽や食事摂取後のむせを自覚し,気管食道瘻,食道狭窄,誤嚥性肺炎と診断され,食道ステントを留置する方針となった.食道ステントによる気道閉塞のリスクを考慮し,気管ステント(Dumon stent)留置後,食道ステントを留置した.術後経過は良好であり,経口摂取可能となった.結論.食道狭窄,気管食道瘻に対する食道ステント留置前には気管・気管支病変を評価し,必要であれば気道ステントを考慮する必要がある. |
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ISSN: | 0287-2137 2186-0149 |
DOI: | 10.18907/jjsre.42.2_188 |