当院における宗教上の理由による輸血拒否患者に対する手術対応と輸血方針

過去3年間の血液製剤使用拒否患者を対象とした手術について準備書面,手術・麻酔状況などを調査した.緊急手術の1名を除き,8名全員から術前に本人による輸血拒否と免責に関する証明書が提出された.術前の予測出血量は少量から500mLであり,7名がアルブミン製剤投与,2名が回収式自己血輸血施行を承認していた.術中の出血量は少量から350mLであり,血液製剤を投与された者はおらず,予測出血量が少ないため術中に出血対策を施行された者もいなかった.相対的無輸血という対応指針のもと,予測出血量が少ない症例に限り絶対的無輸血治療方針で対応していた.回収式自己血輸血や血液製剤使用など同意範囲の拡大に努める必要がある...

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Published in日本臨床麻酔学会誌 Vol. 39; no. 4; pp. 381 - 386
Main Authors 笠原, 彩, 小森, 万希子, 小高, 光晴, 西山, 圭子, 市川, 順子
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本臨床麻酔学会 15.07.2019
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ISSN0285-4945
1349-9149
DOI10.2199/jjsca.39.381

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Summary:過去3年間の血液製剤使用拒否患者を対象とした手術について準備書面,手術・麻酔状況などを調査した.緊急手術の1名を除き,8名全員から術前に本人による輸血拒否と免責に関する証明書が提出された.術前の予測出血量は少量から500mLであり,7名がアルブミン製剤投与,2名が回収式自己血輸血施行を承認していた.術中の出血量は少量から350mLであり,血液製剤を投与された者はおらず,予測出血量が少ないため術中に出血対策を施行された者もいなかった.相対的無輸血という対応指針のもと,予測出血量が少ない症例に限り絶対的無輸血治療方針で対応していた.回収式自己血輸血や血液製剤使用など同意範囲の拡大に努める必要がある.
ISSN:0285-4945
1349-9149
DOI:10.2199/jjsca.39.381