リンゴ片誤嚥による両側気管支異物を軟性気管支鏡下に摘出した1例

背景.両側気管支異物の頻度は高くないが,発症時は呼吸不全に陥る可能性が大きく,迅速な処置を要する.今回我々は,リンゴ片を誤嚥して発症した両側気管支異物を軟性気管支鏡下に摘出し得た症例を経験した.症例.71歳男性.脳血管障害の既往歴がある.デイサービスで2 cm大に切ったリンゴを摂取中に呼吸困難を訴え,当院に搬送された.胸部CT検査にて両側気管支内にそれぞれ1個,計2個のリンゴ片を認めた.鎮静後,人工呼吸器管理とし,軟性気管支鏡下に把持鉗子,バスケット鉗子,生検吸引針,消化器内視鏡用バルーンを用いて全てのリンゴ片の除去に成功した.結論.気管支異物症例は限られているため,ひとつひとつの症例経験につ...

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Published in気管支学 Vol. 41; no. 2; pp. 154 - 159
Main Authors 宮原, 隆成, 山中, 美和, 横関, 万里, 赤羽, 順平
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本呼吸器内視鏡学会 25.03.2019
日本呼吸器内視鏡学会
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ISSN0287-2137
2186-0149
DOI10.18907/jjsre.41.2_154

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Summary:背景.両側気管支異物の頻度は高くないが,発症時は呼吸不全に陥る可能性が大きく,迅速な処置を要する.今回我々は,リンゴ片を誤嚥して発症した両側気管支異物を軟性気管支鏡下に摘出し得た症例を経験した.症例.71歳男性.脳血管障害の既往歴がある.デイサービスで2 cm大に切ったリンゴを摂取中に呼吸困難を訴え,当院に搬送された.胸部CT検査にて両側気管支内にそれぞれ1個,計2個のリンゴ片を認めた.鎮静後,人工呼吸器管理とし,軟性気管支鏡下に把持鉗子,バスケット鉗子,生検吸引針,消化器内視鏡用バルーンを用いて全てのリンゴ片の除去に成功した.結論.気管支異物症例は限られているため,ひとつひとつの症例経験についてCTの撮影法,気道確保・麻酔管理の選択,異物除去の方法にわたって細かく検討しておくことが大切である.その上で新たな症例に遭遇した際は,それらの経験を生かし,常に異物の性状に応じた適切な内視鏡用デバイスを用意・選定できるよう準備をし,適切な呼吸管理のもと迅速に異物除去術を開始できるようにしておくことが重要である.
ISSN:0287-2137
2186-0149
DOI:10.18907/jjsre.41.2_154