異なる経過をたどった小児大腸癌の2例

【症例1】14歳男児.主訴は食欲不振・るい痩で,腹部造影CT検査で腹部腫瘤を指摘され紹介となった.下行結腸に完全閉塞を伴う全周性隆起性病変とS状結腸以下に多発polypを認めた.左半結腸切除,D2+傍大動脈リンパ節郭清を行い,stage IVの診断であった.術後化学療法を行ったが,診断から1年後に死亡した.【症例2】10歳男児.主訴は血便・腹痛.腹部造影CT検査で腸重積の診断となり紹介となった.年齢と部位より器質的疾患の存在を考え,緊急で審査腹腔鏡を施行した.横行結腸脾弯曲部の腸重積部分に腫瘤性病変を認め,悪性リンパ腫と判断し局所切除を行った.病理診断は粘液癌で,腹腔鏡下左半結腸切除とD3リン...

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Published in日本小児外科学会雑誌 Vol. 55; no. 5; pp. 968 - 976
Main Authors 池江, 隆正, 児玉, 祐一, 岡本, 康裕, 加治, 建, 森口, 智江, 家入, 里志, 大西, 峻, 川野, 孝文, 西川, 拓朗, 杉田, 光士郎
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本小児外科学会 20.08.2019
日本小児外科学会
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ISSN0288-609X
2187-4247
DOI10.11164/jjsps.55.5_968

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Summary:【症例1】14歳男児.主訴は食欲不振・るい痩で,腹部造影CT検査で腹部腫瘤を指摘され紹介となった.下行結腸に完全閉塞を伴う全周性隆起性病変とS状結腸以下に多発polypを認めた.左半結腸切除,D2+傍大動脈リンパ節郭清を行い,stage IVの診断であった.術後化学療法を行ったが,診断から1年後に死亡した.【症例2】10歳男児.主訴は血便・腹痛.腹部造影CT検査で腸重積の診断となり紹介となった.年齢と部位より器質的疾患の存在を考え,緊急で審査腹腔鏡を施行した.横行結腸脾弯曲部の腸重積部分に腫瘤性病変を認め,悪性リンパ腫と判断し局所切除を行った.病理診断は粘液癌で,腹腔鏡下左半結腸切除とD3リンパ節郭清を追加した.Stage IIIbの診断で化学療法を施行し,術後2年無再発生存中である.【結語】小児大腸癌は極めて稀であるが,年長時の遷延する消化器症状では鑑別する必要がある.
ISSN:0288-609X
2187-4247
DOI:10.11164/jjsps.55.5_968