多発性非機能性膵内分泌腫瘍の一切除例

症例は51歳女性.9年前より糖尿病を指摘され,2003年2月,スクリーニングの腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘された.腹部超音波,CT検査,EUSでは膵体部に径15 mm,膵尾部に径8 mmの比較的境界明瞭なhypoechoic tumorを認め,CTでは造影効果を認めなかった.多発性非機能性膵内分泌腫瘍または嚢胞成分の乏しいsolid-pseudopapilary tumorと診断し,2003年2月に脾温存膵体尾部切除術を施行した.摘出標本割面ではともに白色調で,膵体部のものは石灰化,出血壊死を伴っていた.病理組織所見では膵体部のtumorは石灰化,硝子様変性,出血壊死を伴い,また膵尾部のtum...

Full description

Saved in:
Bibliographic Details
Published in膵臓 Vol. 21; no. 5; pp. 412 - 418
Main Authors 金井, 信雄, 福田, 晃, 古川, 健司, 高崎, 健, 鬼澤, 俊輔, 羽鳥, 隆, 大原, 敏哉, 松浦, 裕史
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 日本膵臓学会 2006
Online AccessGet full text
ISSN0913-0071
1881-2805
DOI10.2958/suizo.21.412

Cover

More Information
Summary:症例は51歳女性.9年前より糖尿病を指摘され,2003年2月,スクリーニングの腹部超音波検査で膵腫瘤を指摘された.腹部超音波,CT検査,EUSでは膵体部に径15 mm,膵尾部に径8 mmの比較的境界明瞭なhypoechoic tumorを認め,CTでは造影効果を認めなかった.多発性非機能性膵内分泌腫瘍または嚢胞成分の乏しいsolid-pseudopapilary tumorと診断し,2003年2月に脾温存膵体尾部切除術を施行した.摘出標本割面ではともに白色調で,膵体部のものは石灰化,出血壊死を伴っていた.病理組織所見では膵体部のtumorは石灰化,硝子様変性,出血壊死を伴い,また膵尾部のtumorは毛細血管に富んだ小型の核を有する好酸性細胞の島状,索状の増殖を認め,Grimelius染色,Chromogranin A染色が陽性で,ともに非機能性膵内分泌腫瘍と診断した.また,非腫瘍部の膵のランゲルハンス島の多くは硝子様変性を伴っており興味深い症例と考えられた.
ISSN:0913-0071
1881-2805
DOI:10.2958/suizo.21.412