歯周病における組織破壊に関する免疫学的考察

「はじめに~細菌と一次防御システムとの戦い~」歯周組織はその構成細胞と主に感染時に増加する免疫細胞が存在し, それぞれの細胞の感染・炎症に対する反応性が細菌に対する多彩な免疫応答を調節している. 以下に細菌に対するこれら細胞の防御反応を考察しながら, これまでの研究で明らかとなっている事実や我々の研究結果も踏まえて歯周組織破壊に至る機序を俯瞰したい. 細菌の歯周組織内への侵入は, 歯肉接合上皮によるラミニン5やインテグリンα6β4で構成されるヘミデスモゾーム結合を介したエナメル質への接着と, 歯肉接合上皮および歯肉溝上皮の物理的バリア機能およびβディフェンシン等の抗菌ペプチドの発現により防御さ...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 59; no. 4; pp. 185 - 190
Main Authors 藤村, 岳樹, 三谷, 章雄, 後藤, 久嗣, 福田, 光男, 岡部, 猪一郎, 山本, 弦太, 岡田, 康佑, 菊池, 毅, 大野, 祐, 菱川, 敏光
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2017
日本歯周病学会
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.59.185

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Summary:「はじめに~細菌と一次防御システムとの戦い~」歯周組織はその構成細胞と主に感染時に増加する免疫細胞が存在し, それぞれの細胞の感染・炎症に対する反応性が細菌に対する多彩な免疫応答を調節している. 以下に細菌に対するこれら細胞の防御反応を考察しながら, これまでの研究で明らかとなっている事実や我々の研究結果も踏まえて歯周組織破壊に至る機序を俯瞰したい. 細菌の歯周組織内への侵入は, 歯肉接合上皮によるラミニン5やインテグリンα6β4で構成されるヘミデスモゾーム結合を介したエナメル質への接着と, 歯肉接合上皮および歯肉溝上皮の物理的バリア機能およびβディフェンシン等の抗菌ペプチドの発現により防御されている. しかし, 歯頸部を中心とした歯の表面及び歯肉溝内は細菌によるバイオフィルムの形成・存在が持続的に可能な部位である.
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.59.185