重度歯周炎患者に対する経口抗菌療法を併用した非外科治療の臨床 および細菌学的評価

本研究は,重度歯周炎患者に対して,従来の非外科治療に経口抗菌療法(SA)を併用後の治療反応性を臨床的および細菌学的に後ろ向きに評価した。また,SA の診断基準や評価法の妥当性を検討するために,治療反応性とそれに影響を及ぼす因子との関連性についてマルチレベル回帰分析により評価した。ベースライン時 (BL),SRP と SA の併用治療後の再評価(1)時,さらに,再 SRP と必要に応じて再度 SA を併用後,あるいは,歯周外科後の再評価(2)時に臨床診査および細菌検査を実施した。治療抵抗性歯周炎(TRP)の診断基準は,BL に 6 mm 以上のプロービング深さ(PD)が治療後 2 mm 以上減少...

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Published in日本歯周病学会会誌 Vol. 55; no. 2; pp. 156 - 169
Main Authors 相田, 潤, 三辺, 正人, 野村, 義明, 原井, 一雄, 河野, 寛二
Format Journal Article
LanguageJapanese
Published 特定非営利活動法人 日本歯周病学会 2013
日本歯周病学会
Subjects
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ISSN0385-0110
1880-408X
DOI10.2329/perio.55.156

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Summary:本研究は,重度歯周炎患者に対して,従来の非外科治療に経口抗菌療法(SA)を併用後の治療反応性を臨床的および細菌学的に後ろ向きに評価した。また,SA の診断基準や評価法の妥当性を検討するために,治療反応性とそれに影響を及ぼす因子との関連性についてマルチレベル回帰分析により評価した。ベースライン時 (BL),SRP と SA の併用治療後の再評価(1)時,さらに,再 SRP と必要に応じて再度 SA を併用後,あるいは,歯周外科後の再評価(2)時に臨床診査および細菌検査を実施した。治療抵抗性歯周炎(TRP)の診断基準は,BL に 6 mm 以上のプロービング深さ(PD)が治療後 2 mm 以上減少した部位率が 70%未満の場合とした。その結果, 1. SA を併用した非外科治療によって,PD,プロービング時の出血(BOP)の改善効果および歯周病原細菌の菌量の抑制効果が,歯周外科に移行した場合と同程度に再評価(1)から(2)にかけて維持された。2. TRP 症例の出現率は 29%であり,BOP や細菌リスクの改善効果が低かった。3. BL と再評価(1)の比較では,治療前のPDが大きい程治療後の PD 減少量が大きく,治療反応性が良好な症例では患者レベルの変数の寄与率が大きかった。 以上の結果から,重度歯周病患者に対する SA を併用した非外科治療の有効性が確認された。また,SA の適応における患者レベルの治療反応性評価の必要性が示唆された。 日本歯周病学会会誌(日歯周誌)55(2):156-169,2013
ISSN:0385-0110
1880-408X
DOI:10.2329/perio.55.156