急速に進行した膵Solid Pseudopapillary Neoplasmの1例
症例は,63歳男性.2010年5月,急激な上腹部痛にて救急搬送された.CTにて,膵体部に50mm大の低濃度腫瘤を認めた.MRCP,EUS,USにて,腫瘍内に出血とのう胞成分を認めた.肝転移巣から腫瘍生検を行い,H.E染色にてSolid Pseudopapillary Neoplasm(SPN)が疑われた.免疫染色にてCD10強陽性,Vimentin陽性,Chromogranin A陰性などからSPNと診断した.肝腫瘍に対するTAE,全身抗癌剤治療を行ったが,腫瘍は急速に進行し,初診後4か月にて永眠された.臨床経過よりSPN高度悪性転化(high-grade malignant transfor...
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Published in | 膵臓 Vol. 30; no. 2; pp. 233 - 242 |
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Main Authors | , , , , , , , , , , , , |
Format | Journal Article |
Language | Japanese |
Published |
日本膵臓学会
2015
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Subjects | |
Online Access | Get full text |
ISSN | 0913-0071 1881-2805 |
DOI | 10.2958/suizo.30.233 |
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Summary: | 症例は,63歳男性.2010年5月,急激な上腹部痛にて救急搬送された.CTにて,膵体部に50mm大の低濃度腫瘤を認めた.MRCP,EUS,USにて,腫瘍内に出血とのう胞成分を認めた.肝転移巣から腫瘍生検を行い,H.E染色にてSolid Pseudopapillary Neoplasm(SPN)が疑われた.免疫染色にてCD10強陽性,Vimentin陽性,Chromogranin A陰性などからSPNと診断した.肝腫瘍に対するTAE,全身抗癌剤治療を行ったが,腫瘍は急速に進行し,初診後4か月にて永眠された.臨床経過よりSPN高度悪性転化(high-grade malignant transformation)例であったと考えた.SPNは極めて予後良好な疾患であり,WHO2010にて低悪性度腫瘍に位置付けられた.一方,組織学的に明らかに予後不良な症例も報告されており,これらはWHO2010において高度悪性転化例と呼び,SPNの亜型に分類された.本例は臨床経過よりSPNの悪性転化例であったと考えられた.SPNの中にも,このような急速に進行する症例もあることを考慮して,診断・治療・経過観察が必要であると考えた. |
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ISSN: | 0913-0071 1881-2805 |
DOI: | 10.2958/suizo.30.233 |